野村萬斎

2023年07月24日

MIKIKO先生と野村萬斎さん



『GIFT』の証言者たち> というインタビュー記事が『Ice Jewels Vol.18』に掲載されています。


その中から、MIKIKO先生と野村萬斎さんのインタビューを読みました。


MIKIKO先生のインタビューより

「GIFT」という、ショーの名称は、最初に結弦くんと話した時に既に出てきたそうです。

結弦くんは、その名称にすることを、きっとかなり前から考えていたような気がします。

その後、結弦くんからセットリストが上がってきて、その後にストーリーの文章が送られてきたという順番だったということです。


それらをどのようにショーとして創り上げるか、MIKIKO先生と結弦くんの間でキャッチボールを繰り返しながら、全体像が次第にできていったということです。

企画の時点から、名実共に、制作総指揮・羽生結弦 だったことが分かります。


第1部の最後に『序奏とロンド・カプリチオーソ』を滑った時は、私はドキドキしてリンクを見られないくらいでしたが、MIKIKO先生は、ミスするとは1ミリも思わなかったそうです。

それくらい結弦くんを信じていられる根拠があったということです。



ドームの会場に入った時、最初に目についたのは、リンクを抱えるような大きな手のオブジェでした。

あれはどういう意味だったのかな、と思っていました。


それは、最初は自分でも分かっていない「何者か」がどんどん形成されていく、そのシンボルとして配置されたそうです。
そして『オペラ座の怪人』で、羽生結弦が「何者か」と結びつくイメージ。

ここを読むまで、その「手」が何を意味するのかいまひとつ分からなかったので、謎が解けたような気持ちになります。


GIFT ファントムの手



2部に入ると、『GIFT』の核とも言える、結弦くんの独白に入っていきます。

私たちも結弦くんがあそこまで赤裸々に自分の真情を吐露するとは想像していなかったように、MIKIKO先生にとっても想像を超えるものだったそうです。

それを観客に誤解されることなく、正しく理解してもらうために、映像、音楽の速度とトーンに最大限のこだわりを持って、「話しながら物語を伝えることを大事にしつつ、『羽生結弦』をとにかくめちゃくちゃかっこよく撮っていこう」という方針で、結果、あのような素晴らしい映像が出来上がったのでした。


GIFT 自画像 2



MIKIKO先生の印象に残っている場面は?との問いに、

『バラード第1番』の前のシーンの、「満天の星が照らしてくれた」と言う言葉から始まるナレーションからの流れが好きと答えていらっしゃいました。

この部分ですね。

満天の星空が照らしてくれた

大切なものは空っぽじゃなくなった

光りたちは言ってくれた

君には君にしかできないことがあるよ

それを 見たいんだ


ありがとう ありがとう ありがとう…




しかし結弦くんて詩人ですか?

『GIFT』を観ていて、何度もそう思いました。


GIFT  自画像 1




結弦くんとの出会いは、MIKIKO先生の人生にとって大切な出会いであると言うのと同じく、

MIKIKO先生との出会いは、結弦くんの人生にとって大切な出会いになったのだろうと思います。

これからのお二人のコラボレーションが、どのように発展していくのか、本当に楽しみでなりません。




野村萬斎さんのインタビューより

結弦くんが『SEIMEI』をFSプログラムとして以来、野村萬斎さんには大きな影響を受けてきましたね。
萬斎さんはMIKIKOさんに誘われて東京ドームの『GIFT』をご覧になったということです。


そして、『GIFT』を観て感じたこととして、「非常に宇宙的というか。彼の脳内にはもっと大きな宇宙観があることが確認できた気がします」と述べていらっしゃいます。

そして彼の根幹を成すひとつの宇宙観が『SEIMEI』に込められているのではないかと。


『GIFT』の最後のプログラムが『SEIMEI』だったということからも、確かに結弦くんにとって『SEIMEI』は自分の分身のような大切なプログラムなのだろうと思います。


MIKIKO先生によれば、話していて萬斎さんと結弦くんの2人に、非常に近いものを感じたということです。

あの最初に能楽堂で萬斎さんとの初対面の時に教えていただいた「天地人」の考え方についても、MIKIKO先生と話していたということです。


インタビューを読んでいて、MIKIKO先生と野村萬斎さんと、そして羽生結弦選手は、出会うべくして出会った3人のような気がしてきました。

これからも3人のご縁は続くのだろうと感じます。




しかし、MIKIKO先生と野村萬斎さん、お二人の名前が並ぶと、
思い起こすのはやはり東京オリンピックの開会式・閉会式の演出をめぐる、電通との暗闘の経緯ではないでしょうか。

本来、野村萬斎さんが総合監督を務め、MIKIKO先生が演出責任者として、既にIOCに原案を提示し、絶賛されていたプランを、どういうわけかMIKIKO先生が全く知らない間に白紙にされた上、電通の佐々木某の演出に変えられ、その後はセクハラ、パワハラ、いじめというスキャンダルの連発で、結果は酷く出来の悪い開閉会式になってしまった。
挙句の果てにオリンピック終了後は電通を中心とした贈収賄や不正な談合が明らかになるなど、なんとも後味の悪い東京オリンピックの記憶です。


野村萬斎を『GIFT』を観ることに誘ってくださったのがMIKIKO先生だったというのは、MIKIKO先生が結弦くんと萬斎さんの関係を知っていたことと並んで、オリンピックの件のリベンジ的な感覚があったのかもしれないなと思ってしまいました。



MIKIKO先生の、「天性の魅せる力を持っている羽生くんを世界中の方に見てほしいなとも思いました」という願いは、Disney+の世界配信で実現しました。


そして「日本に新たなエンタメの可能性が見つかったなとワクワクしました」という思いは、
私たちも同じですね。


結弦君の未来の可能性の大きさと、それが世界に広がっていくことにワクワクしています。


それにしても、Disney+による『GIFT』のっ世界配信が日本のメディアでほとんど取り上げられていないということは不思議です。

メディア界に隠然たる力を及ぼしているという電通の影響なのか、または電通に対する忖度なのか、という憶測が自然に湧き上がってきます。



それはともかく、
『Ice Jewels Vol.18』は田中さんの写真も、読み物としても、最高です。




絶賛お薦めしたいです。



明日は伊藤聡美さんのコスチューム展に行ってきます。

場所は早稲田のスコットホールギャラリー。
なんと1922年のレンガつくりの建物です。大正時代末期の建築ですね。

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こんな風情のある場所で美しい衣装の数々を見られるなんて嬉しいです。




衣装を見るのも、建築を見るのも、大好きなので、とても楽しみです。



グッズも色々あるようです。
『天と地と』のイメージのハンカチ素敵!




今日はブログが少し長くなってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございます。



お読みいただきありがとうございました。
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2023年03月06日

奈々美先生・萬斎さん・MIKIKO先生




奈々美先生のインタビューがきました。

初めて知った貴重な内容です。
 


 リンクが一時閉鎖する2004年12月まで数々の名選手を育て上げた長久保の、「選手第1号」が阿部だった。高校1年から競技を引退する大学4年まで師事し、その間に2度、全日本選手権に出場。現役引退後は約7年間、海外でディズニー・オン・アイスに出演する傍ら、長久保のアシスタントとして指導や振付を行った。


音楽好きの父のもとで育ち、小学校低学年の頃にはレコードからカセットテープに録音し編集する技術を身につけていた。スケートの大会で使用する曲として当時のコーチに提案するも、採用とはならず。「自分の好きな曲でやってみたいのに……」ともどかしさを感じながら、与えられたプログラムを演じていた。

「使いたい曲はないのか?」

 長久保の問いかけに対し、阿部は「明るい曲がいいです」と答えた。長久保は大まかな回答に戸惑いながらも、リクエストに沿った曲を提案。さらに阿部が「使いたい」と言ったパートをつなぎ合わせて曲を編集し、一方で振付は阿部に一任することで、選手自身が心から滑りたいと思えるプログラムを完成させた。

大学生になってからは編曲も自身で行うようになり、長久保の教え子である小学生の振付を任されることもあった。
「聞いて良い曲だと思っても、曲を使う選手の滑っている姿が見えないようでは合致しない。振付に関しては、とにかく自分の感性を大切にしている」

指導する立場になってからも、得がたい出会いがいくつもあった。その中の一つが、羽生結弦との出会いだ。

 出会った当初の羽生は「元気がよく、負けず嫌いな普通の小学生」だった。しかしコーチとして接するなかで、「何かを持っている」特別なスケーターだと気づかされた。

「ゆづの場合、練習で調子が悪い姿を見ても、『試合ではやるだろうな』と感じさせてくれた。他の選手の練習を見て『良いジャンプが続いているけど、次はミスするだろうな』などと予感することはあったけど、そこまで『大丈夫だろう』と感じさせてくれるのはゆづだけだった」

 長年のコーチ経験がある阿部にとっても「不思議な感情」だったというが、「試合に向けて必死に、一生懸命にスケートと向き合い、練習を積み上げてきた姿が私の頭の中に蓄積されていた」ことが、他にはない感情を生み出した要因ではないかと分析する。

「決して長くない人生の中で、これだけの時間をゆづと共有できたことに、ものすごく感謝している」

++++++++

以上、一部だけ抜粋させていただきましたが、是非全文をお読みください。⇒こちらから

幼い時から音楽的センスに恵まれていた奈々美先生の影響は、確かに結弦くんの中に受け継がれているのだと思いました。

競技プロにせよ、エキシプロにせよ、奈々美先生の音楽の選択が素晴らしいと思っていましたが、

このインタビューを読んで、奈々美先生と結弦くんの師弟の絆は、音楽への向かい方という意味でも、とても貴重でかけがえのないものだと感じました。

『ロミオとジュリエット』の編曲とか、素晴らしいですが、もしかしたら、2012年までの結弦くんのプログラムは奈々美先生による編曲だったのか?

11 全日本

2011年全日本選手権(私が初めて結弦くんを知った時。)

インタビュー後編もとても楽しみです。





野村萬斎さんのラジオ番組も聴かせていただきました。

最初から『GIFT』のお話が出てきます。
萬斎さんはドームの特別席でご覧になっていました。

MIKIKO先生とはLINEで連絡し合っていたということです。



「野村萬斎×MIKIKO」とは、正に幻の東京オリンピック開閉会式演出チームでした。

それを思うと、『GIFT』がオリンピック開会式と見紛う演出だったとしても、ちっとも不思議ではありませんね。


結弦くんのこと、「現代のハムレットか」とつぶやいていた萬斎さんが演出する舞台『ハムレット』は本日から始まります。






汐留シオサイトでは5日(日)から「東日本大震災風化防止イベント」が始まっています。

もう行かれた方もたくさんいらっしゃるでしょうね。
minmi様、情報ありがとうございます。









「いつまでも忘れない」ことも支援のひとつだと思います。

私も是非行きたいと思っています。



お読みいただきありがとうございました。

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2023年02月28日

To be or not to be:



結弦くん、お疲れさまでした。

私たちも『GIFT』を作り上げてくださったすべての皆さんに心からの感謝を、
そして誰よりも結弦くんに最大の感謝を捧げたいと思います!!!





ディレイビューイング観てきました。
私が行った映画館では、404席あるスクリーンが満席でした。
GIFTボアブルゾン着用の方もたくさんいらして、映画館でも拍手喝采でした。


巨大な東京ドーム内では肉眼で見ることができなかった結弦くんの演技の隅々まで見ることができて、感激を新たにしました。


そこで感じたのは、これはもうアイスショーという範疇を超えているということ。

敢えて言えば、それは結弦くんのこれまでのスケート人生の喜びと苦しみと葛藤を描いた独白劇でした。

それを表現する手段として、スケートがあるという風に感じました。

例えばオペラのように、ストーリーと音楽があり、そこに珠玉のアリアが散りばめられているという、そのアリアに当たる部分が、結弦くんのスケートプログラムとなっているような感じ。

オペラにはフルオーケストラが必要なように、『GIFT』にもフルオーケストラが必要不可欠だったのだと思い当たりました。


だから『GIFT』は、「ICE SHOW」ではなくて、「ICE STORY」だったんだ。

GIFT ライブビューイング




野村萬斎さんもドームでご覧になったようです。
「彼は現代のハムレットなのかもしれない」と感じたと。

『ハムレット』といえば、独白部分が特に有名ですものね。

一番有名なのは、”To be or not to be:That is the question" 

羽生結弦風にすれば、”To be HANYU YUZURU or not to be"


折しも、3月6日から萬斎さんの『ハムレット』の公演が始まるということです。
でも結弦くんは、ハムレットのように逡巡した後で、「HANYU YUZURU」として前進することを決意してくれました。





東京ドームからもメッセージが来ました。
35年の歴史の中で、スケートリンクの設置は初めてとのこと。
もし、2度目もあるとしたら、それは『GIFTⅡ』に違いありません。
 

『GIFT』の美しいアイコンとなったブルーのお花の衣装は、伊藤さんが初めて結弦くんのためにデザインしたものでした。


『オペラ座の怪人』は是非もう一度観たいと思っていたので、とても嬉しかったです。
スクリーンで大きなシャンデリアが揺れる演出もとても素敵でした。



最後に結弦くんが『水平線』の曲にのってリンクを周回した時、確かに結弦くんの歌う声がマイクを通して聞こえました。
ドームで観た時ははっきりとは聞こえなかったけれど、映像でアップで観た時に、バックナンバーの歌声に重なるように、確かに聞こえました。

元々美声の結弦くんの歌声、素敵でした。


まだまだ『GIFT』の情報が溢れかえっていますが、もうすぐそこには『notte stellata』が近づいています。(クリックすると動画見られます↓)



内村航平さんとのコラボプログラムは、なんとデイビッド・ウィルソンさん振り付けです!
『notte stellata』のために来日予定だそうです。


楽しみしかありませんが、私は仙台全滅でした


ああ、なんとかビューイングは観られますように。



お読みいただきありがとうございました。

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2022年07月29日

果てしなきフィギュアスケート道




野村萬斎さんから羽生結弦さんへ


プロ転向の羽生さんへ、「SEIMEI」野村萬斎が世阿弥の言葉でエール「能には果てあるべからず」


狂言師の野村萬斎が28日、音声配信アプリ「Radiotalk」内の「職業、野村萬斎」の中で、フィギュアスケート男子で五輪2連覇王者の羽生結弦さんのプロ転向について言及。「テレビの対談番組でご一緒したのがご縁で、一度スケートリンクまで足を運んでアドバイスをさせていただきましたけど、まさに“職業羽生結弦”というかですね、今回も1つの区切りをつけつつ、フィギュア道というのか羽生道というか、1つの道を極めん、というようなことなのかなと思っております」と、受け止めた。

羽生さんの代表的なプログラムの1つである「SEIMEI」は、野村萬斎が安倍晴明役で主演を務めた映画「陰陽師」を題材とした演目で、かつて対談などで決めポーズの意味や、心構えなどをアドバイスしたことがある。羽生さんはフリーで「SEIMEI」を演じた18年平昌五輪で2連覇を達成した。


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 「能には果てあるべからず、と世阿弥が花伝書の中でも言っておりますけど、まさに彼にとってのフィギュアスケート道には果てがないということなのだろうと思います。プロとして、どのように次なる段階をみせてくださるのか非常に楽しみでもありますよね」とエールを送り、「本当に彼の場合、フィギュアスケートだけでなく、職業羽生結弦というかですね、そういう意味でも色々なものを背負っていらっしゃるということで、非常に私は勝手にシンパシーを感じます。東北の震災を含めた彼が背負ってきたもの、東北であり、日本であり、スポーツ界でありと、そういうことはなかなか人望、人格、人としての大きさというのはなかなかめったに現れない。これからも羽生結弦選手のご活躍、行く先楽しみに見守らせていただきたいと思います」と、思いやった。




野村萬斎さんは、かつて「徹子の部屋」に出演された時、結弦くんについて語っています。

萬斎さんは東京芸大で学生たちに教えている中で、結弦くんを「教えるというか、話をした中で一番、打てば響くような人」と話しておられます。





「空間と時間をどれだけ操って、皆さんの集中力を惹きつけるのかっていうのが表現の本質だとすれば、そういうことを順序だてた時、全てに反応しましたね、彼は」。

「それは、彼自身が問題意識を持っているからこそ僕に話を訊きたかったんだろうし、そして、僕が申し上げたことが本当に響いたような気がしましたね」。



萬斎さんのアドバイスがあってこそ「SEIMEI」の演技は完成したと言えると思います。

職業は羽生結弦であること、そしてその使命は「羽生結弦のフィギュアスケート道」を究めること。

萬斎さんはこれからの結弦くんの成すべき仕事を言い当てられています。





昨日ようやく恵比寿の東京都写真美術館で開催中の「スポーツ報知 報道写真展」に行ってきました。


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涼しくなるのを待って、夕方に行ったので、巨大パネルの前には誰もいなくて、ゆっくり鑑賞することができました。


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本当に氷に顔が触れるくらい深いハイドロです。結弦くん以外誰もできない技だろうと思います。

本当に氷やリンクを愛しているって感じが伝わってきます。


パネルは裏に回って見ることもできます。

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別にオリンピックの展示コーナーがあり、そこには3点の写真がありました。

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写真展は7月31日(日)まで、夜8時まで開いています。
お時間の都合がつく方は是非。



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写真美術館から出ると、恵比寿ガーデンプレイスの象徴的な建物、ジョエル・ロブションのライトアップが綺麗でした。




今日の動画は、萬斎さんの力をいただいて完成した『SEMEI』を選びました。
2015年のNHK杯に続いて、その2週間後に再び世界最高得点を更新したバルセロナGPFです。

本当に神がかった演技でした。







お読みいただきありがとうございました。

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2022年02月11日

神の領域




今回4年越しの念願だったオリンピック金メダルを獲得したネイサン・チェン選手は、
「羽生選手が挑戦しているのは”神の領域”です」 と語っていました。


この言葉に、私は『野村萬斎・羽生結弦へのエール』というNumberの記事の中にある言葉を思い出しました。


萬斎さんと羽生選手の出会いは2015年のテレビ対談でした。
羽生選手が『SEIMEI』を演じるにあたって、萬斎さんは冒頭のポーズに「天地人」という意識を持つようにアドバイスをしていました。


狂言 15


狂言 16



天と地の間に人間が存在するという空間感覚と、そこへのベクトルの意識。
音楽に合わせるのではなく、音楽を纏っているが如くに見せなければ、といったことを話したということです。

そして今回の和の新プログラムのタイトルがまさしく『『天と地と』。
萬斎さんは「彼の中にある壮大な時間、空間というものを表す言葉として『天と地と』という言葉があるのだと感じます」と述べています。

「自分自身が作り上げてきたものを乗り越えるところからはじめたのでしょう。違う世界を、またひとつ大きな上の世界を目指す。今ある世界に安住してはいけない、という思いがあふれている」とも。


実際、羽生選手はこの北京オリンピックで勝つことだけを考えたのなら、いくらでも方法はありました。できる限り点数が稼げる構成にして、再び金メダルを獲ることだってできたでしょう。

しかし、羽生結弦はそれでは満足できなかった。

既に誰よりも綺麗に跳べる複数の4回転ジャンプを組み合わせるだけならば、それはもう過去に成し遂げてしまったから。

できる限りの4回転ジャンプを盛り込んだ今回のメダリスト達のフリーを観ていて、なにか退屈な感じを受けてしまったのは、もう私たちは何度も、もっと美しい羽生結弦の4回転ジャンプを観たことがあるからではないでしょうか。


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さらに萬斎さんは語ります。

競技でやらなければいけない技があるというのは『型』と同じ概念であり、この型を制し、さらにみんなの共有物というか、個人が全体となる。それを突き詰めていくと、極論になりますが『神の領域』になってくるわけです。宗教ではないですけど(笑)」


万物に八百萬(やおろず)の神が宿るとする日本、一方世界の多くは一神教の世界。
彼が『和』の世界観を共有するために、どのようにある種の”神”になっていくか、どう映ってくるのかというところ」に興味を持って見ているということです。


羽生選手ほど世界中に多くのファンを持つアスリートはいないでしょう。それはもはや「フェノメノン」とまで言われています。
国家、民族、宗教、思想を超えて、「羽生結弦」というキーワードの下に集まってくる人は年々増えていきます。
そこでは確かに「羽生結弦」はみんなの共有物であり、個人でありながら全体であるという、まるで宗教的なシンボルのような存在とも言えるのではないでしょうか。


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『天と地と』が、上杉謙信をモチーフとしていることにも触れています。
上杉謙信公は私利私欲にこだわらない「義の武将」と伝えられていることから、
「ただ単に自分が勝つことだけを考えているのではない、もうひとつ大きな視点を持てる。自分や周囲を含めて、日本をどう表現するか。世界に対してどう貢献できるか」ということを考えているのではないかと。

羽生選手の原点ともいえる「震災」という日本に限定された困難から、「新型コロナ」という全世界的な困難へと意識が広がり、『天と地と』を単に日本人とか和にとどまらない、もっと地球的なスケール感を持って演じているのではないかとも指摘されています。


前回の平昌オリンピックでは金メダルをもぎ取るために「死闘を制した感じがした」けれど、今回の北京オリンピックでは、そんな体育会系の戦いを上回る次元になるのではないかと予想されていました。


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そしてその予言通り、羽生選手の今回の戦いは、点数やメダルといった具象的なものに拘らない、きわめて抽象的な意味合いを含んだ戦いになりました。

羽生選手の身を捧げるようなチャレンジと、精神性の込められた演技を観てしまうと、ただジャンプの連続の演技では物足りなくなってしまうのです。


もし、あのSPでのアクシデントが無かったら、確実にメダルが獲れていたでしょう。
でも、羽生選手は銀メダルや銅メダルをもらっても、少しも嬉しくはなかったのではないでしょうか。
そこは彼のいるべき場所ではないからです。

だから4位というのは絶妙に良い位置だったと私は思っています。

負け惜しみではありません。
「神」は一般人とは違う場所にいるのが良いのです。
同じ場所にいたら同列の者と認識されてしまいますから。



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足の状態、かなり悪かったようです。


今はゆっくり羽を休めてください。

一日も早く傷が癒えますように。



お読みいただきありがとうございました。

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2020年12月23日

命さえあれば



ブログを3日間お休みしていました。


急速な新型コロナの感染拡大を見て、
遠からず緊急事態宣言か、東京ロックダウンがあってもおかしくないと思い、
年末年始を避けて急遽先週末に、地方に住む家族のところに行って来ました。


幸いまだ多数の感染者が出ている地方ではないのですが、
地元のTVニュースでは、東京や大阪など感染者が多い場所からの訪問者が増えると、感染者も増えるという傾向があるという解説がされていました。
 
やはり他県からの人の移動にはかなり神経質になっているように感じました。



2日後に迫った全日本選手権ですが、やはり無観客でやるべきだと思っています。
どうして有観客でなければならないのか、どう考えても理解できません。
無観客ならば、選手も、ファンもどれだけ安心していられることか。


そんな中、昨日は選手たちにPCR検査がされて、全員陰性だったとことが発表されました。

羽生結弦ら全日本選手権エントリー選手は全員陰性(日刊スポーツ)
#Yahooニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/361b81adbb103ba5bde3788c6753ebafda076082



この記事によると、エントリー選手全員陰性とのことですから、羽生選手もPCR検査を受けたということになりますね。
陰性だったことには一安心ですが、まだISUの羽生選手のprofileページは更新されておらず、
プログラムは2019-20シーズンの、SP:バラード第1番 FS:SEIMEI のままになっています。


果たして本当に羽生選手が出場するのか、未だに疑心暗鬼のままです。

明日24日には公式練習が始まりますから、そこでようやく全てが明らかになるのでしょう。

<12月24日(木) スケジュール>

12:00~12:30 アイスダンス公式練習(1)
12:45~15:00 男子公式練習(1)
15:15~17:30 女子公式練習(1)
18:30~19:30 開会式&滑走順抽選会

ライブ配信有り


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クリスマスイヴどころではない、緊張の1日になってしまうでしょう。



さらに昨日は野村萬斎さん率いる五輪開閉会式演出チームが解散され、代わりに電通主導のチームになるというニュースが流れました。

五輪の開閉会式演出チーム再編、野村萬斎氏ら離れる

日刊スポーツ

何かと問題となる電通の名前が前面に出てきたことが気になります。
しかしCovid-19の変異種も発見されるという現状を考えれば、そう楽観的にもなれないオリンピック開催ですから、かえって萬斎さんが外れることになったのは良かったとも言えるのかもしれません。


今はこのパンデミックの終わりがいつになるのか全く見えていませんが、
ブログをお休みしている間に、私が東京から来たことを知っていながら、ある方に「命さえあればどうにかなるよ。お互い頑張ろう」と言われたことが心に残っています。



最後までお読みいただきありがとうございました。

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2019年12月29日

初めての狂言



昨日は友人に誘われて狂言を初体験してきました。



場所は渋谷のセルリアンタワーの地下1階。

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ここに能楽堂があるなんて、今まで知りませんでした。


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京都の町屋風の廊下が能楽堂入り口へと導いてくれます。


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仕様木材は檜。
檜舞台とは正にこういう舞台のことを指すのですね。

中央の本舞台の大きさは5.9m×5.9mの正方形です。


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なにか清涼な空気感を感じる場所です。



来年の舞台の案内より

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歌舞伎とも能とも違い、派手な衣装や面はつけず、台詞も聞き取りやすく、
初めてでも十分に楽しめました。

能楽(能と狂言)は無形文化遺産第一号に認定されいるそうです。


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650年の歴史を持つ狂言には1,800曲(演目)あるのですが、その演目の中で、人は一人も死なないのだそうです。

平和を愛する芸能なのです。



狂言と言えば、私達はすぐにこの時のことを思い出しますね。

狂言 15


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2015年頃でしたでしょうか。

初々しい羽生選手。

この後、SEIMEIの演技は格段に進化したのを思い出します。

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2015 NHK杯


今ではこうなりました。

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野村萬斎さん、実際にお会いすると、静かな佇まいの中に、もの凄いオーラを発する人だということを聞きました。


いつか萬斎さんの舞台を観てみたいなと思った狂言初体験でした。



と言うわけで、午後いっぱい外出していたので、
録画しておいた『アナザーストーリーズ』は、明日ゆっくり観たいと思います。

アナザーストーリー まとめ 1


アナザーストーリー ハビ 21

ハビのこの表情が忘れられない。



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