練習時間

2020年09月24日

人間の身体は消耗品である



羽生選手の練習時間の短さについて、9月20日の記事にこのように書きました。 



「羽生選手がただやみくもにジャンプを跳ぶのではなく、人間工学や力学を研究しながら、理論上あるべき最適な形を求めて、ジャンプの理想形を追求しているのだということが理解できました。

プロフィールによると、羽生選手の練習時間は年間通して、週10時間ということですから、週20時間から40時間くらいの他の選手に比べて、圧倒的に少ないわけですが、その分、理論的な研究をしているのだろうなと想像できます。

世界ランキング
1位の選手の練習時間が世界一少ないというパラドックス!」


19 GPF  SP cap  15


そんな私の素朴な疑問に答えてくれている、スポーツドクターが書かれた記事を見つけました。

「スポーツ根性論、精神論の限界」
格闘技ドクターが語る、本当の「強さ」とは


その中から一部抜粋してご紹介したいと思います。

・・・・・

練習を重ねれば結果は出るはず、という誤解から解放されるために大切なのは、「人間の身体は消耗品である」という認識です。

スポーツの練習やトレーニングは身体への負荷です。負荷をかければかけるほど、関節や椎間板はすり減っていきます。ボクサーが目にパンチをもらっても、ラガーマンがタックルのたびに脳に衝撃を受けても、「たくさん食らった方が目が強くなる! ぶつかればぶつかるほど脳が物理的に強くなる!」ということはありません。

人間の身体の弱い部分はいくら鍛えてもそのままです。筋力や技術は練習やトレーニングを重ねることで上がっていきますが、それでさえも回復には適度な休養や栄養が必要不可欠です。


言うまでもなくスポーツが与えてくれる感動やパフォーマンス向上の過程で得られる充実感は素晴らしいものです。

プレーヤーが可能性を最大限に開花させるためには、消耗品である身体を壊さないように上手に守りながら、スポーツだけではなくもっと広い視点で人間としての能力を拡大していくという考え方へのシフトが求められます。

 では、どのように考え方をシフトしていくべきでしょうか。
今回お伝えしたいのは「ダメージ・マネジメント」の視点です。

「A. 高負荷でダメージが蓄積しやすい練習」
「B. 低負荷でほとんどノーダメージの練習」
に練習内容を区分けします。
Aの時間を最小化しながら、Bの割合を増やしていくのです。

 Aはフィジカル的に苦しいため、耐え抜けば脳内でドーパミンが放出され、満足感も得られやすい。それゆえ「勝利というゴールから逆算した練習」から「これを乗り越えたら勝てる」に変容しやすくなるリスクがあります。少しでも勝利に近づきたいからとAばかりやっていると、身体へのダメージが蓄積されていきます。

 Bはフィジカル的にAより楽なので「練習した気がしない」方も少なくないのですが、世界のトップレベルで活躍する一流選手はBで「脳が汗をかくくらい」脳のイメージと実際の動きの修正に時間を投下しています。

運動とは脳の前頭前野で想起された運動イメージを神経回路と筋の収縮を介して具現化する作業ですから、針の穴に糸を通すような、より繊細で高度な感覚が必要とされます。

 一流選手は本を読んで新しい考え方をインストールする、試合や動画を観て脳のミラーニューロンを活性化させる、映画やパフォーマンスを観て自分のフィールドに置き換えてみる、といった「一見練習には見えない練習」も大切にしています。

(中略)

若い世代の選手には、指導者に言われたことだけを黙々とこなすのではなく、ITを活用して情報を集め、世界の一流選手のノウハウを取り込み、自分が納得した練習をする人が増えています。

また、指導者においても時代の変化を柔軟に受け止め、最新の情報や技術、解剖学や運動学、脳科学といった学問を吸収しながら、指導のスキルを高める人も現れています。

私たちスポーツドクターとのディスカッションからヒントを得ようとする先進的な指導者もいらして、社会状況の変化とテクノロジーの発展とともにスポーツ指導のあり方も新時代を迎えているように思います。これからの時代、今まで以上にスポーツ指導における多様化が求められていくのではないでしょうか。

・・・・・
(抜粋引用ここまでです)

記事全文はかなり長いのですが、興味深い記事なので
こちらで是非お読みください⇒https://the-ans.jp/coaching/126147/

19 3 19 公式練習 5 小海渡
(photo:小海途良幹 美しい!)



この記事を読むと、羽生選手がいつもやっていることとほとんど重なってきます。

年間通じて、週10時間という短い練習時間は、記事の中でAタイプと分類されているリンクでの練習であって、
その他の時間に、Bタイプの練習を人一倍積んでいるのでしょうね。
きっと今日もまた。

彼自身のためであることは勿論ですが、将来指導者の立場になった時、その研究は大いに役に立つのだと思います。


19 3 19 公式練習 6 小海途
(photo:小海途良幹)



10月も目前になり、そろそろ選手たちの新プログラムが発表されています。


ジェイソン・ブラウン選手、ネイサン・チェン選手の新プログラムもお披露目されました。
(まだしっかり見てないのですが)

ジェイソン・ブラウン選手
SP:https://youtu.be/yg2rSLJTLK4
FS:https://youtu.be/ntgyqEQRv18

ネイサン・チェン選手 
SP:https://youtu.be/DEKZZEU0x7I
FS:https://youtu.be/pleMxxIcMBM



果たして羽生選手のプログラムはどうなるのでしょうか。

四大陸選手権で戻した「バラード第1番」と「SEIMEI」をブラッシュアップするのもよいし、
新プログならそれも嬉しいし。

今シーズンのGPシリーズは欠場と決まっているので、初披露は順調に行って全日本選手権になるのでしょうか。


19 NHK  公式練習 6  小海途
(photo:小海途良幹)


12月まで楽しみに待ちたいと思います。



最後までお読みいただきありがとうございました。

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