全日本選手権2020
2021年05月12日
駿くん佳生くん結弦くん
引き続き今頃になってQuadruple Axelを読んでいます。
全日本選手権での素晴らしい演技、しかもSP、FS共に新しいプログラムを観て、後輩スケーター達に大きな影響力を発揮した羽生選手でしたが、その次世代スケーターの中でも、特に私が今後の活躍を期待しているのが、佐藤駿選手と三浦佳生選手です。
二人共以前から羽生ファンであることを公言していますが、インタビューでの答えから、その羽生愛の深さが伝わってきて、羽生選手のレガシーを忠実に受け継いでくれそうで嬉しく思いました。
佐藤駿選手は全日本5位、三浦佳生選手は7位と、今後の躍進が大いに期待できる二人です。
そんな二人の羽生選手の演技を観ての感想を、インタビュー記事の中から抜粋してご紹介します。
先ずは佐藤駿くんインタビューより
駿くんは羽生選手よりも10歳年下で、東日本大震災の時は小学校1年生でした。
当時は羽生選手と同じくアイスリンク仙台のリンクメイトで、羽生選手と同じように仙台で被災しています。
昨年の全日本の時は、股関節の怪我による痛みがあり、痛み止めを飲みながら頑張って、5位という好成績を残しました。
早く怪我が治って、4回転ルッツやサルコウなどのジャンプがしっかり跳べるようになるといいですね。
ー佐藤選手は「憧れは羽生選手」といつもおっしゃっています。この10年間、同郷の羽生選手の背中どのように見ていましたか?
駿くん:この10年は長いようで早かった気がします。
昔から羽生選手に憧れて、追いかけ続けてきたんですけど、当時は自分が全日本選手権に出られるなんて思ってもいませんでした。
「全日本選手権に出場して、同じグループで滑る」ということは夢でもあったので、それが叶ったことはすごく嬉しいです。
ー(羽生選手の)プログラムはどうでしたか?
駿くん:昨シーズンとは曲の雰囲気も変わって、すごくカッコよかったです。
フリーは僕の演技が終わってからだったので、バックステージのモニターで見ていたんですけど、もう完璧でした。何もかもが完璧でした。
そのとき、先生と草太くんがいたんですけど、みんな、「もう、すごい」って言っていました。
ー全日本の期間に羽生選手と交流できましたか?
駿くん:はい、少し。「頑張れ!」って言っていただけました。それは、いろいろなことに対してだと思います。
ー佐藤選手からは、何かお話しされましたか?
駿くん:いや……(恐れ多くて)無理です!
ー「頑張れ」と声をかけてもらえたことは、糧になるのではないでしょうか。
駿くん:そうですね、あらためて「頑張ろう!」と思いました。
駿くんは真面目でシャイな感じというか、いつも羽生選手に会うと緊張してしまう様子がうかがえます。
でもジャンプは綺麗な4回転ルッツも跳べて、これからがとても楽しみなスケーターです。
今は、同期で親しい友人でもある鍵山優馬選手の活躍が目立っていますが、駿くんの潜在能力は鍵山選手に勝るとも劣らないものがあると思っています。
来シーズンの目標を聞かれて、「健康第一」と答えていますが、本当に早く怪我を治して、何よりも健康で、来シーズンに向かって欲しいです。
次は三浦佳生選手のインタビューです。
三浦選手はまだ15歳の中学3年生ですが、2種類の4回転ジャンプを持っています。
昨年の全日本選手権では、初出場で7位という素晴らしい成績を残しました。
ー今大会では、羽生選手に特別な感銘を受けたようですが、どのようなところが心に響きましたか?
佳生くん:いや、もうすべてがヤバかったですね。
最初のポーズをとる前から演技に入り込んでいるところはさすがだなと思いましたし、滑りはもちろん、表現のアクセントの利かせ方すごく上手で。それからスピンをしているときでさえ、「プログラムを演じている」といことを忘れていないんだな、と気づきました。
ジャンプに集中している選手が多いなか、たとえばトリプルアクセルを着氷したそのすぐあとにループを跳んだりして、細かい技を利かせているし、どのエレメンツも曲に合っていました。
フリーも動き始めた瞬間からお客さんを引き込んで、会場の空気を変えてしまうあの感じは羽生選手にしか出せないなと思って、もちろん、ほかの選手もすごいですけど、やっぱり別格だなと思いました。
ー勉強になったんですね。演技後のリモート会見で、「あらためて、羽生選手のファンになりました」と熱く話されていたのが印象的でした。
佳生くん:あの演技を見て、ファンにならない人、いないでしょう(笑)!?
もう、「スゴい」「ヤバい」としか言葉が見つからなくて、語彙力を失う素晴らしさでした(笑)。
本当に神です。
ー特に感銘を受けたジャンプは?
佳生くん:アクセル、トウループも好きですけど、もっと好きなのはサルコウとルッツです。いや、全部好きなんですけどね(笑)。全部うまいんですよ!
―全日本選手権では羽生選手と記念撮影もされたんですよね。
佳生くん:メダリストオンアイスの日に、小松原尊選手と羽生選手が話しているところを見かけて、「あっ、チャンスだ!」と思って、ふたりの会話が終わったあとに一緒に撮ってもらいました。
それで、撮影後に「ありがとうございます!」と言ったら、「4回転きれいだったよ、これからも頑張ってね」と、めっちゃやさしい声で言ってくれて。
それまで僕がイメージしていた羽生選手は、インタビューや会見で見るようなキリッとした感じだったんですけど、その時は本当にピュアでやさしそうな雰囲気だったので、それにもすごく驚きました。
ーそれにはなんと答えたのですか?
佳生:いやもう、小声で「ありがとうございます、ありがとうございます」って、それしか言えなかったです(笑)。
オリンピックを連覇している方に褒めてもらえて、めちゃめちゃ嬉しかったです。
ー羽生選手が三浦選手の演技を見ていたということは、どう思いましたか?
佳生くん:それよりもまず、僕のことを知ってくれていたということ自体が信じられなかったです。その上で僕の演技を見てくれたなんて、「嬉しい」のひと言でした。
羽生選手が視界に入ったとたん、あまりのオーラに直視できなくなるような存在だったので。
ーそれだけ憧れの存在だったんですね。
佳生くん:歩いているだけであんなにオーラが出る人っていないですよね。まっすぐに前を向いて、すごく集中している表情が、「カッコいい!」と思って。
(メダリストオンアイスで)写真撮影のために待機していた時に、誰かに背中を叩かれたので振り向いたら羽生選手がいて、「おつかれさま」と言ってくれたんです。
本当に「夢か、これ!?」と思いました。
ーNHK杯と全日本選手権では、鍵山優馬選手、佐藤駿選手と一緒になりましたね。何か交流はありましたか?
佳生くん:全日本のフリーが終わって、翌朝、長野駅前で待ち合わせて3人で遊びました。それから女子のフリーを見に行ったんですけど、3人で集まること自体が最近は少なかったので楽しかったです。
ふたりとも演技はすごいのに、普段は年上という感じが全然しなくて。僕より2つ上なのに、逆にすごく可愛らしかったです(笑)
ー鍵山選手、佐藤選手からは、全日本選手権での三浦選手の活躍に対して何か言葉はありましたか?
佳生くん:駿は、「すげぇ」と言ってくれました。優馬はSNSに投稿されていたファンの方の感想を、まるまる読んでくれました。
この3人は待ち合わせて遊ぶほど仲良しなのですね。
佳生くんは中学生とは思えない程、大人っぽい雰囲気があります。
饒舌で、物怖じせず思ったことを話すところなんかが、羽生選手の若い頃(今でも十分若いけど)を思い出させるところがあります。
まだジュニアの選手ですが、シニアに上がってきたら、確実に駿くん、優馬くんと肩を並べる次世代スケーターになるんじゃないかな。
来シーズンはもう1年、ジュニアで頑張るつもりらしいですから、是非、全日本ジュニアチャンピオンを目指して欲しいです。
駿くんや佳生くんのように、羽生選手に憧れて、羽生選手の演技を見て学び、羽生選手の後を継いでいこうとする選手の活躍を応援したいと思います。
そうして、羽生選手の Hope & Legasy が、Continueされていくと嬉しいですね。
最後に3人の全日本の演技を見たいと思います。
◆佐藤駿選手 FS 「ロミオとジュリエット」
◆三浦佳生選手 FS「ラストサムライ」
そして大先輩の羽生結弦選手 FS「天と地と」
本当に、何もかもが完璧な演技でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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2021年02月23日
マッシミリアーノ・アンベージ、羽生結弦を語る
『氷上の創造者』 に掲載された、マッシミリアーノ・アンベージさんによる羽生選手の演技についての評論は格調高く、また、ウィンタースポーツ専門のジャーナリストとしての長いキャリアを通じ、多くの選手やその業績にを見てきた人の目に、羽生結弦という選手がどのように映っているのかを知る上で、とても興味深いものでした。
今日はその中から一部を抜粋してご紹介したいと思います。
この状況が、彼をさらに成長させた
最初に昨年のGPシリーズを羽生選手が欠場したことについて、
「数か月前、二度のオリンピックチャンピオンは彼ならではの冷静さと確固たる意志によってグランプリ大会から合法的に辞退した。
決断の理由には説得力があり、パンデミックによって引き起こされた非常に困難な事態に十分な注意を払うように、という警告のように聞こえた。
これほど偉大なチャンピオンが、間違いなく苦悩した末に、このような極端な立場をとったことは、何が正しい優先事項なのか、この時点において、スポーツは優先事項ではありえず、また優先されるべきではないことを示す上で重要だった。
・・・
そして彼の判断は正しかった。スポーツ以前により重要なことがあり、純粋にスポーツという観点から考慮しても、今シーズンのグランプリ大会はほとんど意味のないものになったからだ。」
羽生選手がコーチの元を離れ、一人で全ての練習やり遂げなければならなかったことについては、
「身近に師範がいないことは、その時々のニーズに対応し、完全に自立して全ての決断を下すために、長い年月の中で学んだことを最大限に実施する機会だった。
つまり、彼の習慣を変えた8年という長い年月の後、日本国内で練習することになった羽生は、必然的にコーチと振付師の役割もこなさざるを得なくなった。
この状況は彼を更に成長させ、豊かにする絶好の機会であり、財産になったと私は確信している。
彼の責任感とモチベーションを一層高める状況であり、競技人生においてあらゆるタイトルを勝ち取った者は、いかなる種類の挑戦にも決して屈することは無いのだ」。
マッシミリアーノさんはこのように、羽生選手がコーチや振付師とのリモート練習をしつつも、大部分の時間は一人で練習し、試行錯誤しながらプログラムを完成させる過程を非常に前向きにポジティブに捉えています。
これは羽生選手が新しい能力を磨き、さらに大きく多様な彼の可能性を広げるのに役立つことは間違いありません。
この雑誌の記事を羽生選手は読んだのでしょうか。
きっと読んでいますよね。
こんな風にマッシミリアーノさんが考えていることを、羽生選手も嬉しく思っているのではないかな。
羽生選手の考えや決断を、このように理解し発信してくれる人が日本にもいてくれるとよいのですが、なかなか見当たらないのが残念です。
更にマッシミリアーノさんはショートプログラム『Let Me Entertain You』と、フリースケーティング『天と地と』についての詳しい解説もして下さっています。
次の記事ではそれについて書きたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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2020年12月31日
光のさす方へ
今年も最後の日となりました。
Sportivaから折山淑美さんの素敵な2本の記事をお借りして、全日本選手権を振り返り、
今年最後を締めくくりたいと思います。
全日本選手権ショート・プログラムで首位発進し、落ち着いてフリーを迎えた羽生結弦。初披露となった『天と地と』をノーミスで演じ、5年ぶり5度目の優勝を飾った。約10カ月ぶりとなった大舞台で羽生が見せた未来への強い意志とは。@sunao_notohttps://t.co/b0WGGliRXb
— 集英社スポルティーバ (@webSportiva) December 28, 2020
全日本選手権ショート・プログラム(SP)首位発進後、翌日のフリーに向けて羽生結弦は「まずはしっかりと体を回復させることが大事だと思います」と話した。フリー当日の午前の公式練習では、落ち着いた雰囲気が印象的だった。
(中略)
迎えた夜の本番。
羽生は、1969年のNHK大河ドラマ『天と地と』のテーマ曲で滑り出すと、
計算された動きの中で力みのない4回転ループを難なく決め、

4回転サルコウ、

トリプルアクセル+2回転トーループ、3回転ループと、流れを途絶えさせない。

さらに後半も力む素振りも見せず、4回転トーループ+3回転トーループと

4回転トーループ+1オイラー+3回転サルコウ、

トリプルアクセルを鮮やかに跳んだ。

SPでは4回転2本に不満を持っていたが、この日は「これぞ羽生結弦のジャンプ!」と強くアピールするような、見事なノーミスのジャンプを続けた。
羽生は演技後にこう話した。
「まずは自分自身、このプログラムに思い入れがあって曲を聞けばすごく感情も入るし、振りの一つひとつにもいろんな意味を込めています。そうした中でもやっぱりジャンプを完成させないと、プログラムの一連の流れとして伝わるものも伝わらなくなってしまう、と。
本当に自分が伝えたいものが、このプログラムで見せたかったことが、ジャンプが途切れなかったという意味でも、少しは見せられたのかなと思います」
さらに昨シーズンを振り返り、吐露した。
「ともに2位だった全日本選手権とグランプリ(GP)ファイナルのこともあり、自分が成長していないんじゃないかなとか、だんだん勝てなくなっているのではないかなとか、そういう思いがあって、一瞬、『戦うのが疲れたな』と思った時期もあった」
だが、コーチと離れ、ひとりで練習して落ち込んだり、考えを巡らせたりする中で、戦いの中で得られる達成感や、試合があるからこそ苦しみを乗り越えられることなど、競技を続けて向き合うことが「やっぱり好きなんだ」と、あらためて感じたという。
大河ドラマの『天と地と』は、「義」を重んじた武将・上杉謙信の物語だ。謙信の戦いに対する考え方や、そこにある美学。さまざまな規制がある中で葛藤し、最終的に出家した人生。
そうした悟りの境地へ達した謙信の価値観と、今の自分の思いが少し似ていると感じて、羽生は思いをリンクさせながら滑ったと話す。
(中略)
羽生は、自身の思いが詰まったプログラムで215.83点を獲得。合計を319.36点にし、5年ぶりの優勝を果たして昨年の悔しさを晴らした。
コーチ不在の中でさまざまな悩みを持ちながら、そして自分自身の心の中の葛藤とも戦いながら出場した全日本選手権。
その舞台での初披露でノーミスの演技をした『天と地と』からは、彼自身の「新しい自分の代表的なプログラムに育て上げていく」という、強い意志も伝わってきた。
新プログラム「天と地と」の中にも、SEIMEIを演ずるに当たって野村萬斎さんから示唆された「天・地・人」というテーマが受け継がれているなと感じました。
SEIMEIをさらに進化させていく「天と地と」は、初めて観た時のインパクトとしては旧「ロミオとジュリエット」、その完璧さと言う点ではヘルシンキワールドの「Hope & Legacy」を彷彿とさせるものでもありました。
一度観ただけで、これは過去最高のフリープログラムになるのではないか、
という思いが沸き上がってきました。
スケートを滑る喜びを取り戻すきっかけとなった「春よ、来い」を舞った。
今年はコーチ不在で「精神的にどん底まで落ち込んだ時期もあった」と振り返る羽生結弦。しかし、こんな時代こそ悩むよりも自分のできることを考えたという。何よりもこの世の中に一番伝えたいメッセージ。全日本選手権でみせたのは羽生の強い決意だったーー。@sunao_notohttps://t.co/uJZn86HWiF
— 集英社スポルティーバ (@webSportiva) December 30, 2020
新型コロナウイルス感染拡大を受け、羽生結弦は感染リスクを考慮し、グランプリ(GP)シリーズの欠場を決めた。自身の行動を自粛することで、ファンやメディア、関係者らが移動に伴う感染のリスクを減らしたいという配慮もあった。
そうした中、出場を決めた12月25〜27日の全日本フィギュアスケート選手権。だが、感染の第3波の中での開催となり、「自分が出てもいいのか」との葛藤があったと、競技前日の公開練習後に吐露していた。そして、5年ぶりの優勝を果たした後も、その思いは消え去っていないと話した。
「僕の望みはとても個人的なことなので、貫いてよかったのかとの葛藤は今でもあります。ただ、自分としては、もし(来年3月の)世界選手権が開催されるのであれば、(大会に向けて)近づいておかなければ今後が難しいという思いがすごくあった。コロナ禍の暗い世の中でも、自分自身がつかみ取りたい"光"に手を伸ばしたという感じです」
開催されることになれば、世界選手権で2022年北京五輪の国別出場枠が決まる。そうした大切な大会への出場権を争う全日本選手権に、日本男子フィギュアを牽引する者の責務として参加した面もあったのかもしれない。
(中略)
羽生は「精神的にはどん底まで落ち込んだ時期もあった」と振り返る。4回転アクセルの練習の衝撃で足に痛みが出て、他のジャンプもどんどん崩れた。トリプルアクセルさえ跳べない時期もあり、「これからどんどん技術が落ちていくのだろうか」との思いがよぎり、負のスパイラルに陥ったという。
「自分がやっていることがすごく無駄に思える時期が長かった。トレーニングや練習の方向を考えるだけでなく、新しいプログラムの振り付けも考えなければいけなかったり、自分で自分をプロデュースしていかなければいけないプレッシャーもありました。応援してくれる人たちの期待に、本当に応えられるのか。そもそも自分は4回転アクセルを跳べるのかと......。
それに、入ってくる情報では他の選手が皆すごくうまくなっているようだったので、自分ひとりが取り残され、ただ暗闇に落ちていくような感覚になった時もありました。『ひとりは嫌だな』『疲れたな』『もうやめようか』とも思ったりして。
でも、エキシビションの『春よ、来い』と、
ノービス時代の『ロシアより愛をこめて』を滑った時に、

『やっぱりスケートが好きなんだな』と思ったんです。
スケートじゃないと自分はすべての感情を出し切ることができないな、と。だったらもうちょっとわがままになって、誰かのためではなく自分のためにも競技を続けてもいいのかな、という気持ちになれた。そこでちょっと前に踏み出せました」
(中略)
「今、スケートができること自体、本当に恵まれていることなんだなと思いました。苦しかったかもしれないけど、こういう状況だからこそ、自分の演技が明日までではなくてもいいから、その時だけでも、演技が終わった後の1秒だけでもいいから、見ている人たちの生きる活力に少しでもなったらいいなと思いました」
フリーの『天と地と』では、戦国武将・上杉謙信が抱いた、戦いの中での葛藤を自らとリンクさせ、羽生の今の心象風景を緊張感の中で見せようとした。
葛藤の末に出場を決めた全日本ゆえに、そして、このような世の中だからこそ完ぺきな演技を見せたいという強い決意を感じた。自分の演技を観てくれる人たちが笑顔になる瞬間を少しでも増やしたい、という気持ちがプログラム全体に表われていた。
12月28日のメダリスト・オン・アイスで、羽生は一歩踏み出すきっかけになった『春よ、来い』を滑った。彼自身が『天と地のレクイエム』とともに、自分らしさや自分の色を出せていると説明していたプログラムだ。
演技後の場内インタビューで羽生は「(『春よ、来い』は)この時期にピッタリというか、何よりもこの世の中に一番伝えたいメッセージだったので。少しでも(観客の)心が温まるように演技をしました」と話した。
いつかは春が来る。
その時へ向けて、しっかりと一歩を踏み出したいという、羽生結弦の強い意志を感じさせる全日本選手権の3本のプログラムだった。
羽生選手の素晴らしい3つのプログラムで1年の最後を迎えられたこと、
感謝と喜びで心が満たされています。
今年一年、当ブログをお読みいただきありがとうございました。
心よりお礼申し上げます。
新しい年が羽生選手と皆さまにとって、光を取り戻す再生の年になりますように。
来年もよろしくお願いいたします。
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