2023年04月25日
筆さばきのような着氷
ado_aibo様からご紹介いただいた記事より、羽生選手に関連する部分のみシェアさせていただきます。
大変興味深い記事をごご紹介くださり、ありがとうございます。
記事は2014年7月に公開されたものなので、ソチオリンピックでの羽生選手のパフォーマンスを観ての感想になると思いますが、フィギュアスケートとは関係ないような、カーレーシングに関わる専門家のお話の中で、非常に的確に羽生選手のスケーティングについて指摘されています。
(2014年の記事なので、フィギュアスケートのルールは現在とは多少違うところもあります。)
鼎談のメンバーはこちらの三人の専門家の方々です。
高岡英夫:運動科学総合研究所所長、NPO法人日本ゆる協会理事長・推進委員。東京大学、同大学院教育学研究科卒。東大大学院時代に西洋科学と東洋哲学を統合した「運動科学」を創始し、人間の高度能力と身体意識の研究にたずさわる。
クラゴン:レーシングドライバーとして世界最高峰のサーキット、ドイツ・ニュルブルクリンクでのレースで活躍する
藤田竜太:自動車体感研究所(ドライビング・プレジャー・ラボラトリー)所長
"羽生さんの着氷は筆のよう"
— add_aibo🐶 (@add_aibo) April 22, 2023
筆化した体を使った着氷時の支持構造だけを見れば、羽生結弦はフィギュアスケート史上最高の"天才"
コメントに大変興味深い記事を貼って頂きました。深く深く拝読させて頂きました。
バレエでの視点とは全く→続#羽生結弦#HANYUYUZURU𓃵 https://t.co/OyBL6Bk4BB pic.twitter.com/imLOJCErlc
レーシングドライバーの方がアルペンスキーヤーより実力を証明しやすい
高岡 それは何ともいえないよ。
藤田 えっ、そうなんですか。
高岡 アルペンスキーも、選手に筋電計をつけたり、高性能GPSをつけてラインどりのデータをとるような実験例はあったけど、自動車レースのように、本番の競技中にそうしたデータどりをしたことはないはずだし、測定・収集しているデータも、モーターレーシングの数分の一もないでしょ。
本番同士で比べれば、アルペンスキーの場合、せいぜいタイムしか計っていないわけだから、モーターレーシングに比べたら、データをとっていないのも同然ってことになるよね。
クラゴン そっか~。
藤田 競技中のアルペンレーサーの足が、あるターンで何ミリずつストロークして、板と雪面のスリップ角がどれぐらいで、横G、加速G、減速Gがどれぐらいといったデータは、まったくとれていないわけですものね。本格的なレーシングカーなら、もっと詳しいデータまで収集できるデータロガーというシステムがありますから。
高岡 うん。だからアルペンスキーヤーはかわいそうなんだよ。
クラゴン レーシングドライバーの方が、ある意味、実力を証明しやすくて恵まれているわけですね。
高岡 そう考えると、アルペンスキーは、モーターレーシングよりも、評価の点では、むしろフィギュアスケートに近いとすら言えるかもしれない。
フィギュアスケートは、ソルトレイクシティオリンピックで、ジャッジに対するスキャンダル事件が起きた後、大改革を行って、採点を非常に細分化して、しかもそれを総合化していくシステムを作り上げていったでしょ。
その改定された採点方法は、私から見ても、「よくここまで考えたな」と感心するほどだったからね。
その結果、現代のフィギュアスケートは、かなり詳細にデータ化できるようになってきているんだよ。
クラゴン それはじつに興味深い話です。
着氷から支持する構造だけを取り上げれば、羽生結弦はフィギュアスケート史上最高の天才
高岡 基礎点は「要素の入り方」、「回転数」、「レベル」によって算出されたり、各要素の出来栄えを、0をベースとし-3から+3の7段階で評価(GOE)したり、とてもよく考えられているからね。
ただ、私だったら、センターの高さが上空何km、深さは何kmといった身体意識の部分まで、採点項目に加えるだろうから、まだまだ改善の余地はあるけどね(笑)。
クラゴン・藤田 はっはっはっは(笑)。
高岡 それはさすがにジョークだけどね(笑)。
でも、軸なんかは面白くて、軸だけでジャンプを見ることができるよね。
クラゴン たしかに!
高岡 軸がより理想に近い運動をした結果のジャンプであったとしても、きれいに着氷できない場合もあるでしょ。たとえば4回転ジャンプを試みたときに、単純にジャンプのエネルギーが足りなければ、3回転半で回転不足で着氷することになるよね。
でも一方で、軸は少々乱れても、きれいに着氷してしまうケースもある。羽生結弦などは、そもそも軸が乱れない選手なんだけど、仮に乱れたとしても、軸が乱れたようには見えないのが彼のひとつの特徴なんだ。
クラゴン へぇ~~。
高岡 歩いても、その場歩きをやっても、じつは同じことなんだけど、着氷からの力の支持、浮いているものは着氷・着地したときに、今度は体重が乗っていくわけだけど、そのときの身体の運動構造が、羽生結弦は抜群に優れているんだよね。
簡単にいえば、普通の選手の身体はボールペンのようなもので、そのボールペンを中空から紙の上にポンとタッチして円を描くとしたら、羽生結弦は筆で円を描くような感じかな。
藤田 それはわかりやすい例えですね。
高岡 しかも、羽生結弦が筆だとしたら、その筆先の毛の部分が長くて柔らかく、ちょうどいい具合に腰がある感じなんだよ。そうした点は、非常に天才的な部分だね。
その極めてすぐれた筆化した身体で、着氷から支持していく支持構造だけを取り上げると、羽生結弦は間違いなく、フィギュアスケート史上最高の天才だろうね。その点では、彼が目標としていたロシアのプルシェンコよりも上だと言えるよ。
羽生結弦の筆状の支持構造は、他の選手でも正しいトレーニングを取り組めば作り上げることが可能
クラゴン 羽生選手は、ものすごく天才的な選手なんですね。
高岡 たしかに天才的なんだけれども、その筆状の支持構造は、彼だけ専売特許ではなく、正しいトレーニングに取り組んでもらえば、他の選手にも作り上げることは可能だよ。
少なくとも、私の指導を受ければ必ずできる。
藤田 そのための何か条件はあるのでしょうか。
高岡 条件は、まず身体が壊れていない選手であること。そして年齢がある程度まだ若いこと。さらに上達したい、身につけたいという意志と意思があること。
クラゴン その二つの力は確かに大事ですね。
高岡 それからある程度の頭脳を持っていること。
これも非常に重要で、わかりやすくいえば知能が普通以上じゃないと無理だろうな。
藤田 やっぱり、指導内容が理解できる知性がないと、話にならないわけですね。
高岡 うん。指導内容、そしてその意味が分からないとダメだろうし、記憶していくことだって欠かせないよね。さらに、本質力のトレーニングを積んでいったとき、それが具体力とどう結びついていったのかといったことを、フィードバックすることだって必要になる。
羽生結弦は、そういう意味ですごく頭がよく、知能が高い選手だよね。ものすごく詳細にデータをとっているし、フィードバックもすごく正確なんだよね。
フィギュアスケートのような競技では、普通の選手だとデータなんて取れないからね。
クラゴン そうなんですか。
高岡 そうだよ。だって、レーシングカーのように各種センサーを満載しているわけじゃないんだから。
つまり、フィギュアの選手は、自分自身で要素化していって、それがどうだったかという評価まで、自分で下さなければならないわけだし。
ただ、さっきも言ったように、今日のフィギュアの採点方法は、とても詳細になっているので、それも基本的データとして大いに活用し得るわけだけどね。
(引用ここまで)
9年も前にここまで羽生選手の特質を見抜いていらっしゃるとは流石ですね!
美しい着氷はよく「バターのよう」と形容されることがありますが、
私たち日本人には、リンクに筆を降ろすように、静かに流れるような筆跡を描く羽生選手の着氷という表現は実感できますね。
この後、レーシングドライバーの聖地ニュルブルクリンクのレースで優勝を果たしたクラゴンさんはこんなことも言っています。
クラゴン そうなんです。高岡先生をはじめ、皆さんのご支援のおかげでついに優勝することができたので、誤解を恐れずに言えば、自分の中で「もうこれでいいかな」と思えるようになったんです。
決して満足したというわけではないんですが、なんと言いますか、「勝つために何でもやるドライバー」、「勝利第一主義のドライバー」はもうここまでにして、「これからは、本当に運転を極めたい。もっと運転が上手くなることに全力を傾けたい」と思うようになったんです。
「ドライバー」を「フィギュアスケーター」と言い換えれば、そのまま羽生選手と同じ心情なのかなと思いました。
羽生選手も「勝利第一主義のスケーターはもうここまでにして、これからは、本当にフィギュアスケートを極めたい。もっとスケートが上手くなることに全力を傾けたい」と思っているのだろうな。
どんなジャンルのアスリートも、点数を取ることと、自分の最高のパフォーマンスを完成させることとは別の問題なのですね。
これからプロアスリートとして進んで行く羽生選手を、精一杯応援していきます。
NHKプラスが終わってしまって残念だなと思っていましたが、動画と書き起こししてくださったのですね。
ありがとうございます!!
\まだまだお楽しみください/#てれまさ#羽生結弦 さん出演回#NHK仙台 HPの特集ページ
— てれまさ (@nhk_tohoku_news) April 24, 2023
「#知っトク東北」にて
記事とショート動画で
プレーバック
1回目は前半名場面
気象にスポーツに
羽生"キャスター"としても
大活躍いただきました
記事はこちら👇15歳のお宝映像もhttps://t.co/HE76NmisMe pic.twitter.com/oTFZbwcxoK
結弦くんには、いつもハートをわしづかみ!にされてます~
お読みいただきありがとうございました。
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