2022年09月05日
ニース落ちのゼウスのお話
毎日次から次へと結弦くん情報が上がってくるので、なかなか書けなくて、小海途さんの回と前後してしまったのですが、
朝カルの講座『写真家たちのフィギュアスケートトーク』の第1回ゲストは長久保豊さんでした。
スポニチの長久保さんが通称「ゼウス」と呼ばれていることは皆さんご存じかと思います。
小海途さんが「神」であることに対して、長久保さんは全能の神「ゼウス」ですから、
一段上になりますね。
なにしろ、部長として君臨していたのですから。
長久保さんは今年2月にスポーツニッポン社を定年退職して、現在は特別編集委員として、自由な立場で、しかしお仕事はこれまでと同様にされているそうです。
伊藤みどりさん、本田武史さんが活躍なさっていた頃からフィギュアスケートを撮っていて、1998年の長野オリンピック担当に決まっていたのに、なぜか直前に社会部に移動となり、それから15年間、社会部所属だったそうなんです。
それがなぜ再びフィギュアスケートに関わることになったのか。
それは2012年のことでした。
世界選手権を観たくて、なんと自費でニースに行ったそうです。
能登さんともそこで初めて知り合ったのですが、
田中さんは前年の3.11の取材があり、ニースには行っていなかったんです!
残念だったでしょうね。
撮影場所はリンクサイドのコーチの後ろ。
当時のコーチは阿部奈々美先生でしたね。
なぜか悲しそうな顔をした少年が出てきたなと思って見ていると、最初の4T-3Tで会場を支配してしまう。
でも長年フィギュアを観てきたゼウスは、途中で、何かおかしい、この子は怪我をしているのでは、と気づいてしまった。
転んでも続けようとする結弦くんに向かって、奈々美先生の後ろで、「やめた方がいいよ!」と言ってしまったそうなんです。
しかし、その男の子はステップに入るときに吠えると、復活してしまったのです。
ストレートラインステップが速くて、カメラがついて行けない。
姿がファインダーの中に入らない。
夢中でい追いかけて、終わった瞬間、会場がドカン!と揺れた。
夢中で撮っていて、メモリーカードが0になってしまって、最後まで撮れなかった。
もっと撮りたいと思った。
そして、「正しくこの子でフィギュアにハマった」と打ち明けていました。
ゼウスが問いかける「あの子怪我してたよね?」
そこにいたカメラマンは皆、黙っている。
皆泣いているか、黙っている。
何か言うと涙が出ちゃうから、黙っている。
能登さんもゼウスの後方で泣いていたそうです。
奈々美先生も泣いていた。
演技が始まる前は「この子」だったのに、終わったら「この人」になっていた。
そして表彰台ではまた可愛い「この子」に戻ってしまう。
美しいと思った。
ゼウスがフィギュアにハマったのはニースのロミオ、正しく「ニース落ち」だったのです。
田中さん、能登さん、長久保さんの3人のベテランカメラマンのお話、このエピソードだけでなく、まだまだたくさん聴かせていただき、写真も未公開のものも含めてたくさん見せていただきました。
2時間たっぷり充実の講座でした。
ゼウスは熱く、優しく、真摯だった。
次回はスポーツ報知の矢口亨カメラマンがゲストです。
写真集を出したばかりの矢口さんのお話と、見せていただける写真が今から凄く楽しみです。
昨日は矢口さんのインスタグラムのライブトークがあったようですが、外出していて見逃してしまいました。
今日の22時30分ごろからインスタライブをやります。
— 矢口 亨 (@ToruYaguchi) September 3, 2022
写真集「羽生結弦2021-2022」のお話をしようと思っています。また途中で止まってしまうかもしれないのですが、30分間くらいの予定です。宜しくお願い申し上げます!
残念でしたが、次回の講座で見せていただけるのを楽しみに待っています。
(使用した写真はこれまでに公開されているもので、講座の中で見せていただいたものではありません)
お読みいただきありがとうございました。
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withgoldenwings at 02:22│羽生結弦