クリアファイルはどこに?最後の一問一答とファンタジー・オン・アイス

2022年05月18日

ジェンダーの固定観念をとっくに超越している




 今日のシチズンの一問一答。

Q:4Aを跳ぶ際に難しいポイントは何だと思いますか?

A:えっと、やっぱり4回転半て、たくさん回転しなきゃいけないですし、
早く回転を回りつつ、また高さもすごく高く跳ばなきゃいけないジャンプなので、
回転の速さとジャンプの高さを両立させて、また、バランスを取るのがとても大変です。


今日の質問は4回転半ジャンプについて、という重要な質問でした。


速さと高さ、そしてバランスの3要素がピタッと合致しないと跳べないところが難しいジャンプ。
でも足首さえ完治すれば、いつかクリーンに着氷できると信じています。

一問一答は明日が最終日ですね。
残っている質問はこの一つだけになりました。
Q2 目まぐるしく変化する試合環境や強敵にどのように対応していますか?

明日はどんな答が返ってくるでしょうか。

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Nympheaさんのブログ、「惑星ハニューにようこそ」に、再びとても興味深い記事の翻訳を載せてくださっています。

「コリエレ・デッラ・セーラ」という、イタリアでは「ラ・レプブリカ」と並ぶ2大全国紙(日本でいえば朝日と読売のような感じ)の一つが、記事の中で羽生結弦選手を取り上げています。

一部引用させていただきましたが、全文は「惑星ハニューへようこそ」で是非お読みください。


最近では、羽生結弦という名はイタリアでも、特にフィギュアスケートファンでなくても知っているくらい知名度は上がっているように感じます。


スポーツ界は偏見が多過ぎる

コスタンツァ・リッツァカーザ・ドルソーニャ
(作家、ジャーナリスト)
2022年5月4日


(読者ミケーレさんからの質問)

親愛なるコスタンツァ
あなたのコラムではよくスポーツについて取り上げていますね。
僕は、「異性愛者だけが山から身を投じることが出来ます。何故なら(滑降には)勇気が必要だからです」というソフィア・ゴッジャの同性愛者を侮辱する発言に衝撃を受けました。
確かにホモセクシャリティ(同性愛)を公言するスキーヤーはごく僅かですし、サッカー選手についても同じです(それどころか存在しません)。
しかし、これらのスポーツに同性愛者がいない理由や、スキーやサッカーが特に「男性的な」スポーツである理由ではなく、まさにイタリアにおけるこのような極端に保守的な姿勢について掘り下げるべきではないですか?これは非常に若い世代を含むスポーツ選手達の間でも頻繁に見られる姿勢です。
世界中を飛び回る29歳の若い女性であるゴッジャのようなオリンピックチャンピオンが、
未だにこのような思考的バリアと偏見を持っていることに僕は驚愕しています(ミケーレ)



(コスタンツァさんからの返信)

親愛なるミケーレ
全くその通りです。そして残念なことに、これはイタリアだけではありません。
同性愛嫌悪の考えは世界中のスポーツ界に根強く残っています。ソフィア・ゴッジャの発言は、ラトビアのデニス・ヴァシリエフスのポニーテールや、繋ぎやパンツスタイルの衣装を好み、5回転ジャンプを跳びたいと公言して従来の「お姫様」スタイルを拒否するロシアのサーシャ・トゥルソワを批判する人々が未だに存在するフィギュアスケート界に蔓延する偏見を思い出させました。
フィギュアスケートは、ほとんどのLGBT+アスリートが、メディアからなぶりものにされたり、ジャッジ達から格下げされたり、スポンサーを失うことを怖れ、引退後にようやくカミングアウトするスポーツです。
ジョニー・ウィアーが自国連盟から虐められたのは有名です。フランスのアイスダンサー、ギヨーム・シゼロンがゲイゆえに元ジャッジから「冷たく」「説得力に乏しい」と形容されたことは有名です。アダム・リッポンがロシアのアレクセイ・ヤグディンから「自然の過ち」のレッテルを貼られたことは有名です。昨年、22歳の未来のオリンピックチャンピオン、ネイサン・チェンは、「ゲイに支配された」スポーツで異性愛者でいることはフラストレーションが溜まる、と発言しました(他の状況ならナショナルチーム代表の座を失う可能性もある非難すべき発言です)。
その後、チェンは謝罪しましたが、私の友人のサリーは、彼の発言が、別のアメリカ人、スコット・ハミルトンの発言と全く同じニュアンスであることを思い出しました。80年代のチャンピオンだったハミルトンは、自身の同性愛嫌悪を告白し、「ゲイと間違われないために」常に(チェンと同じように)非常に男性的な衣装ばかりを選んでいたと語りました。

幸いなことに、皆がこのように偏見の固まりという訳ではありません。
最近、プリーツスカートを履いた中国のアイスダンスの男子スケーター、シンユー・リウの写真が雑誌「Purple」を飾り、話題になりました。

何よりも、フィギュアスケートは全ての男子選手の中で最も力強く、最もカリスマ性があり、同時に多くの女子スケーターより繊細で優美なこのスポーツのレジェンド、日本の羽生結弦に目を向けることが出来ます。彼は武道、セクシーな首元、白鳥の羽根、フリルで飾られたピンクのブラウス、タンクトップを脱ぎ捨てて観客席に投げる数百万人の少女達を絶叫させるパフォーマンスなど、男性的要素と女性的要素をごく自然に混合し、ジェンダーの固定観念をとっくの昔に超越しています。何故なら、羽生がインタビューで発言しているように、フィギュアスケートは性別云々とは全く関係のない、己の個性の表現だからです。彼は皆の模範です。


本当に羽生選手の先入観にとらわれない柔軟な姿勢、考え方には共感を感じます。
スポーツ界には未だに男性性、女性性を固定的に考えて、性別によるプロトタイプを抜け出せない人たちが大勢いるんだなと感じます。

そんな中で、羽生選手はプログラムを表現するためなら、どんな衣装でも着こなし、どんなものにも自分を投入できるという、表現者として素晴らしい能力を持っていると思います。

男とか女とか、そんな狭い枠を取り払い、人間としての素晴らしさを体現してくれます。

それにしても、ネイサン・チェン選手が「ゲイと間違われないために」、非常に男性的な衣装ばかり(Tシャツのこと?)を選んでいたのだとしたら、ようやくその訳が理解できます(笑)。


ゲイであるとか、ヘテロであるとかということよりも、人間として一番大切な本質は全く別のところにあるのだと思います。

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「ジェンダーの固定観念をとっくの昔に超越している」羽生選手を誇りに思います。



お読みいただきありがとうございました。

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