誰よりもチャレンジャー羽生選手はプラチナメダル

2022年02月11日

神の領域




今回4年越しの念願だったオリンピック金メダルを獲得したネイサン・チェン選手は、
「羽生選手が挑戦しているのは”神の領域”です」 と語っていました。


この言葉に、私は『野村萬斎・羽生結弦へのエール』というNumberの記事の中にある言葉を思い出しました。


萬斎さんと羽生選手の出会いは2015年のテレビ対談でした。
羽生選手が『SEIMEI』を演じるにあたって、萬斎さんは冒頭のポーズに「天地人」という意識を持つようにアドバイスをしていました。


狂言 15


狂言 16



天と地の間に人間が存在するという空間感覚と、そこへのベクトルの意識。
音楽に合わせるのではなく、音楽を纏っているが如くに見せなければ、といったことを話したということです。

そして今回の和の新プログラムのタイトルがまさしく『『天と地と』。
萬斎さんは「彼の中にある壮大な時間、空間というものを表す言葉として『天と地と』という言葉があるのだと感じます」と述べています。

「自分自身が作り上げてきたものを乗り越えるところからはじめたのでしょう。違う世界を、またひとつ大きな上の世界を目指す。今ある世界に安住してはいけない、という思いがあふれている」とも。


実際、羽生選手はこの北京オリンピックで勝つことだけを考えたのなら、いくらでも方法はありました。できる限り点数が稼げる構成にして、再び金メダルを獲ることだってできたでしょう。

しかし、羽生結弦はそれでは満足できなかった。

既に誰よりも綺麗に跳べる複数の4回転ジャンプを組み合わせるだけならば、それはもう過去に成し遂げてしまったから。

できる限りの4回転ジャンプを盛り込んだ今回のメダリスト達のフリーを観ていて、なにか退屈な感じを受けてしまったのは、もう私たちは何度も、もっと美しい羽生結弦の4回転ジャンプを観たことがあるからではないでしょうか。


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さらに萬斎さんは語ります。

競技でやらなければいけない技があるというのは『型』と同じ概念であり、この型を制し、さらにみんなの共有物というか、個人が全体となる。それを突き詰めていくと、極論になりますが『神の領域』になってくるわけです。宗教ではないですけど(笑)」


万物に八百萬(やおろず)の神が宿るとする日本、一方世界の多くは一神教の世界。
彼が『和』の世界観を共有するために、どのようにある種の”神”になっていくか、どう映ってくるのかというところ」に興味を持って見ているということです。


羽生選手ほど世界中に多くのファンを持つアスリートはいないでしょう。それはもはや「フェノメノン」とまで言われています。
国家、民族、宗教、思想を超えて、「羽生結弦」というキーワードの下に集まってくる人は年々増えていきます。
そこでは確かに「羽生結弦」はみんなの共有物であり、個人でありながら全体であるという、まるで宗教的なシンボルのような存在とも言えるのではないでしょうか。


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『天と地と』が、上杉謙信をモチーフとしていることにも触れています。
上杉謙信公は私利私欲にこだわらない「義の武将」と伝えられていることから、
「ただ単に自分が勝つことだけを考えているのではない、もうひとつ大きな視点を持てる。自分や周囲を含めて、日本をどう表現するか。世界に対してどう貢献できるか」ということを考えているのではないかと。

羽生選手の原点ともいえる「震災」という日本に限定された困難から、「新型コロナ」という全世界的な困難へと意識が広がり、『天と地と』を単に日本人とか和にとどまらない、もっと地球的なスケール感を持って演じているのではないかとも指摘されています。


前回の平昌オリンピックでは金メダルをもぎ取るために「死闘を制した感じがした」けれど、今回の北京オリンピックでは、そんな体育会系の戦いを上回る次元になるのではないかと予想されていました。


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そしてその予言通り、羽生選手の今回の戦いは、点数やメダルといった具象的なものに拘らない、きわめて抽象的な意味合いを含んだ戦いになりました。

羽生選手の身を捧げるようなチャレンジと、精神性の込められた演技を観てしまうと、ただジャンプの連続の演技では物足りなくなってしまうのです。


もし、あのSPでのアクシデントが無かったら、確実にメダルが獲れていたでしょう。
でも、羽生選手は銀メダルや銅メダルをもらっても、少しも嬉しくはなかったのではないでしょうか。
そこは彼のいるべき場所ではないからです。

だから4位というのは絶妙に良い位置だったと私は思っています。

負け惜しみではありません。
「神」は一般人とは違う場所にいるのが良いのです。
同じ場所にいたら同列の者と認識されてしまいますから。



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足の状態、かなり悪かったようです。


今はゆっくり羽を休めてください。

一日も早く傷が癒えますように。



お読みいただきありがとうございました。

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withgoldenwings at 00:08│羽生結弦 | 北京冬季オリンピック
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