2020年08月02日
英雄、英雄を知る
ロシア女子の移籍問題を考えると、同じリンクでライバル同士が練習するのは、一見華やかで楽しそうに見えても、実はとても過酷で大変なことなのは想像できます。
(2020年欧州選手権、ロシア女子が表彰台を独占)
切磋琢磨といえば、聞こえは良いけれど、毎日が激烈な競争でしょうから。
かつて羽生結弦選手にも、パトリックやハビを追いかけていた時代がありました。
ソチオリンピック当時、多くの人達がその時点で世界選手権3連覇していたパトリックがオリンピックでも金メダルを獲るだろうと考えていたはずです。
しかし金メダルは羽生選手のもとへ。
その時のパトリックの気持ちを想像すると、どんなにか辛かったでことしょう。
しかし、彼は後日、羽生選手が金メダルに相応しかったと認めています。
そして、言うまでもなく、ハビとは同じリンクで練習しながら、かけがえのない友情を育みました。
羽生選手は今でもハビのサインが入ったiPod を愛用しています。
過去にこの3人について書いた記事があります。
「ユヅルとハビとパトリック」(2019年4月26日記事)
今日はその過去記事をそのまま再掲させていただきたいと思います。



今日発売のNumber、巻頭特集は
羽生結弦×ハビエル・フェルナンデス
そして
羽生結弦×パトリック・チャン
「彼は心の底からの戦士だった
羽生結弦×ハビエル・フェルナンデス」
「オリンピックと言うのは他の試合とは違ったプレッシャーがある。そこで普段のトレーニングをでやっていることを繰り返すことで、気持ちが落ち着くんです。ユヅと一緒にエッジワークをやったのは、別に前もって打ち合わせをしていたわけでなく。自然に起きたことでした。いつものホームリンクでの練習で積み重ねてきた想いが浮かんで、心が落ち着きました。
あのときは、もちろんユヅはもっとも強力なライバルではあったけど、同時に彼はトレーニングメイトなんだという気持ちもはっきりと感じました」

「彼の強さがどこから来るのか、わからない。
ただわかっているのは、彼は心底から戦士であるということ。
自分を信じる気持ちが強く、出場する全ての試合で勝たなくてはならないという強い思いをもって、自分自身にプレッシャーをかける。そしてここぞというところで、普段の実力以上のものをだして見せる。ぼくは出場する試合のすべてで勝たなくては、とは思わない。その時々でのコンディションがありますから。
でも彼は、試合に出るからには絶対に一番になるという気合で行く。その気力が彼の強さを支えていると思います」


アナザーストーリーや文芸春秋の記事で語られていたように、ユヅとハビの友情は本当に稀に咲く貴重な花のような存在だと思います。
ライバルであり、友であり、良き理解者であったハビがいたことで、どんなにかこの7年間が豊かなものになったことでしょう。
永遠に語られる伝説の二人になりますね。
「ユヅルが切り拓いた新時代」
羽生結弦×パトリック・チャン
「2013年カナダ世界選手権でタイトルは手にしたものの、下から追い上げられているのをひしひしと感じた。本当はトップにいる選手は後ろではなく前を見なくてはいけないのに、ぼくは差が詰まっていることに気をとられてしまったんです」

その新時代が始まったのは、間違いなく2014年のユヅルからだったと思う。彼が今の新しい世代、ネイサン、ショーマらの、新しいフィギュアスケートの世代を築いたのです」
「ユヅルが平昌で2度目の金メダルを手にするのを目にしたときに、思いがけない感動がわいてきたんです。実を言うとソチオリンピックでは、まだそれほど経験のない新人に負けてしまったという忸怩たる思いをなかなか拭い去ることができなかった。
でもユヅルがソチから見せた成長ぶりと、彼の歩んできたオリンピック2連覇への道のりを目にしたとき、この素晴らしい物語の中に自分も参加できたことを誇りに思いました。ソチオリンピックの結果はなるべくしてなったのだ、と自分を納得させることができた。
これほどの選手だったのだから、自分が負けたのは仕方のないことだったのだということを、ユヅルが平昌で証明してくれたのです」
ユヅとハビの物語は色々なところで語られていますが、パトリックがユヅについて語るのは初めてのような気がします。
ソチオリンピックでは、それまで世界選手権3連覇していたパトリックが、まだ世界選手権で1度も優勝したことのなかったユヅに負けて、どんなにか悔しかったことでしょう。
しかし、パトリックは流石です。
ユヅのオリンピック2連覇に向かう困難な道のりを見て、この素晴らしい物語の中に参加できたことを誇りに思う、とまで言ってくれているのです。
自らの敗北をフィギュアスケートの歴史の中の一場面として昇華したのです。
改めてパトリックの人間としての器の大きさを知りました。
(過去記事ここまで)

(2017年四大陸選手権のグリーンルーム。この時勝てなかった羽生選手の肩にそっと添えられたパトリックの手が忘れられない。)
ハビとパトリックだけでなく、今、話題の渦中の人となっているプルシェンコさんも、
「今は君が僕のアイドルです」とまで言ってくださり、いち早く羽生選手の素晴らしさを認めてくれていましたね。
全ての人ができることではありません。
しかし、「英雄、英雄を知る」と言います。
真に優れた者は、真に優れた者を認められるということです。
全力で戦い、その結果を受け入れることができるのは、真に強い者だけです。
ついでですが、ショパンの英雄ポロネーズ。




いつか是非滑ってくださ~い!!
今日の午後はFaOI 2018 金沢公演2日目と3日目の2公演分が一挙放送されます。
<金沢公演 2日目>■8月2日(日) ひる12:00~
<金沢公演 最終日>■8月2日(日) 午後3:10~
日曜の午後の楽しみ

最後までお読みいただきありがとうございます。
フィギュアスケートランキング
ブログランキングに参加しています。1クリックが励みになります。
全ての画像、文の転載、引用はご遠慮下さい。
写真はキャプチャーしたもの、撮影したもの、感謝してお借りしたものです。

ご登録いただくとLINEに記事更新のお知らせが届きます。
withgoldenwings at 06:03