2020年05月24日
点と線・詩と物語
フィギュアスケートマガジン恒例の記者座談会も、今回はZOOMを使ってのリモートで行われたそうです。
この座談会、いつも楽しみにしているのですが、記者さん3人に加えて、小海途さんというレンズを通して羽生選手を見ている方が参加しているところが特徴ですね。
世界選手権の中止が発表になった日、フィギュアスケート担当記者はほぼ全員、朝から連盟事務所が入るビルに集まったそうです。
そして羽生選手のコメントが発表になった瞬間、「おっ、現役続行だ」みたいに、記者が湧いそうです。
記者さんたちも来シーズンも羽生選手が見られることに安堵して、嬉しかったのだと思います。
以下座談会から一部分だけ引用させていただきました。
山口:結果論になりますが、世界選手権が中止になったことを考えると、よくも四大陸の出場を決意したものだな、そして、よくもそこでプログラムの変更の決断をしたなという気がします。偶然とはいえ、羽生選手らしいドラマチック性を感じるというか。
吉田:そこは羽生選手独特の勝負カンというか、研ぎ澄まされた感性を感じます。四大陸で得た前向きな気持ちで今季を終えられたというのは、来シーズンにつながっていくと思いますね。
本当に四大陸出場を自ら希望して、そこでスーパースラムを達成したのはよかった!
羽生選手独特の「勝負カン」って、確かにあるのかもしれないですね。
山口:とにかく今は、何をするにもコロナがつきまといますし、実際に被害に遭われている方もいます。震災の痛みをあれだけ深くとらえて。「自分一人のスケートじゃない」という羽生選手だからこそ、このコロナに関しても、これからの演技に何らかの影響があるようにおもうのですが、
吉田:演目には絶対に影響するでしょうね。
実際、IOCの動画にも「3.11」のことが出てきたように、震災が羽生選手のスケート人生を変えたこと間違いないですから。今回のコロナは国境を越えた問題であって、逆境に負けないという意味で、ここからまた何かを生み出していくのかなという...。
高木:4回転アクセルを跳ぶためのフィジカルをつくる時間できたと前向きにとらえつつ…どうなんでしょう、GPシリーズが予定通りに開催されるのか、ちょっと読めないですよね。まずはそこが心配ですが、もし試合が行われるとしたら、羽生選手らしく、人々の力になるような演技をすると思います。
小海途:世界選手権が中止になった時の羽生選手のコメントにあったように、今季は、暗闇の中に光を見出したシーズンだったと思います。あの言葉は、彼の今季をそのまま表していたんじゃないかと思っているんですよ。
いろいろ模索して、苦しんだシーズンでしたが、その中で、最後に四大陸で光も見えましたし、そこに行くまでの大会の中でも苦しみながらも光を見つけていったシーンがたくさんあったと思います。羽生選手自身が、成長するためにあえて暗闇の中に入って行った部分もあったと思うんですよ。そこで色々試して、模索しながら、光を見出していった。
そうして手に入れた光が、来シーズンの彼を照らしてくれるんじゃないかという気がしています。
もし新プログラムをつくるとしたら、羽生選手は「何かの意味のある」プログラムをつくり出すでしょうね。そこにはパンデミックを経験した世界に対するメッセージが込められているような気がします。
最後に小海途さんが言っていることも本当にそうであってほしいなと思いました。
小海途:このスタイルで五輪で金メダルを2回も獲ったのだから、これが羽生選手にとっては正しいスタイルだということことですよね。逆に違ううやり方でと言われてもできないでしょう。
もしセーブさせるとしたら、周りの人でしょうね。出場する大会をもう少し余裕のあるローテーションで組んであげるとか。
大会に出る以上、羽生選手は全力で戦うと思いますので。
今シーズンの波乱は、一部はローテーションの組み方の失敗による影響もとても大きいような気がします。来シーズンからは余裕を持った試合間隔と移動日程の管理をしっかりやってほしいと思いました。
予定時間をオーバーして、山口さんが終了しようとしてからも、話は尽きないようでした。
『SEIMEI』と『バラ1』を比較して語るこの部分がとても興味深くおもしろかったです。
高木:見ている私たちにとっても、やっぱり『SEIMEI』は特別なプログラムなんですよね。
小海途:ただ僕は『バラ1』もすごく好きなんですよ。
高木:ああ!『バラ1』が好きだというカメラマンの人は多いですよね。
吉田:ピアノ曲の方が撮りやすいとか、そういうのはあるんですか?
小海途:確かに、そういうのもあるんですかねえ…。なるほど、なるほど。
吉田:基本的にピアノの音にはめているじゃないですか。
小海途:そうですね。複数の楽器ではなく、鍵盤の音だけで、シンプルですしね。
吉田:その点、『SEIMEI』はずっと流れでつながっていますからね。『バラ1』の方が、点と点を合わせている感じがします。
小海途:確かに『バラ1』は点の集合体で、『SEIMEI』は線かもしれませんね。
ただ、出せる写真の点数が多いのは、圧倒的に『SEIMEI』なんです。『バラ1』は流して見るぶんにはいいんですが、止めると難しいプログラムです。
『バラード第1番』は点の連なり、 『SEIMEI』は線に例えて語っています。
『バラ1』は、美しく短いフレーズで綴られた
想像力を掻き立てる一編の詩。
『SEIMEI』は、心躍らせる冒険物語
或いは『バラ1』は抽象画、『SEIMEI』は肖像画。
私にはそんな風にも感じられます。
両方とも大好きです。
昨日はKISSの日ということでしたね。
5月23日とKISS、どういう関係なんだろう?
ファンタジー・オン・アイスではいつも投げキッス連発していましたね。
本当なら今日、幕張最終日でもきっと。
よかったら4月27日の記事「いまこそ投げキッス」も見てくださいね
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