2019年03月28日
マッシミリアーノさんの解説
ユーロスポーツのイタリア語解説動画です。
素早い翻訳に感謝いたします。
お馴染みのユーロスポーツイタリア語解説のお二人です。
このコンビの解説が大好きなので書き起こししました。
分かり易くするため一部追記しました。
M:マッシミリアーノ・アンベージ(実況)
A:アンジェロ・ドルフィーニ(解説)
M:羽生結弦、現オリンピックチャンピオン
ほとんど不可能な大差の逆転に挑戦する
首位のネイサン・チェンに対して10点以上を挽回しなければならない
正確には12点以上だ
ミスのない完璧なプログラムが必要だ
埼玉スーパーアリーナの観客の大歓声で迎えられた
羽生は日本だけでなく世界中あらゆる地域においてフィギュアスケートのアイコンと見なされている
トップコンディションではない
身体的に万全ではないが、彼が実施しようとしているのは非常に高難度なプログラムだ
3アクセル2本、クワド4本
A:本当に究極難度の構成だ
ユヅルが選んだのはエドウィン・マートンの曲
M:プルシェンコに捧げられたプログラムだ
A:4ループ
A:あああ~4サルコウで耐えた
見直さなければならない
ショートでうまくいかなかったジャンプだ
フリーでもベストの出来ではなかった
A:3ループ
A:注意してほしい
ここから4ループを2本予定している
A:4トゥループ
A:4トゥループ、シークエンスで3アクセル(笑)
M:非常識だ!
A:3フリップ-3トゥループ
A:3アクセル-eu-3サルコウ
A:最後のエレメント、足替えのコンビネーションスピン
M:奇跡のような羽生結弦!
万全なコンディションではないにも拘らず、圧巻のプログラムを引き出した
リンクにはあらゆる物が降り注いでいる
世界中どこであっても彼が行く先々で起こる現象だ
見直さないといけないジャンプがあるけど
A:サルコウはおそらく回転不足だろう
実際、TESが少し下がった
でも最後の最後まで歯を食いしばって戦った
M:何という心だ
ヴィンセント・ジョウにPCS87点を与えるなら、彼に97点以下はあり得ない
そうでないと得点が機能しない
採点システムは粉々に崩壊する
A:(二人が)根本的に異なるスケーターであることは明らかだ
M:4Tと3Aのシークエンスジャンプを綺麗に成功させた
これは歴史だ
A:これは驚異的なエレメント
彼のようなスケーターにしか考えられないエレメントだ
M:勝敗に拘わらず、これはフィギュアスケートの傑作選に入るプログラムだ
M&A:(声を揃えて)これは200点を超えるプログラムだ
A:メダル獲得に必要な得点は186点だった
現時点でトップに立つからメダルは確定だ
その色がどうなるかだけだ
M:新しいルールで初めての200点越えだ。言うまでもなく国際大会で。
つまり国内大会は考慮されない
A:勿論だ
M:4サルコウが綺麗に決まらなかったのは残念だった
練習では一番安定していたジャンプだったのに
いずれにしても彼に多大な敬意を表する
M:少し前まで欠場してもおかしくないようなコンディションだったのだ
A:4ループは素晴らしい出来だったと強調したい
高さを見てよ。衝撃的だ!(0.64m)
僕が心を打たれたのは、通常自分が得意とするショートで失敗した選手が、これほど揺るぎない確信をもって反撃したことだ
4サルコウを着氷したのは奇跡だった
転倒を回避したのは奇跡だった
日本人にしかみられないような柔軟な膝を持った彼のような選手にしか、このような着氷で転倒を避けることはできない
でも回転は完全ではなかったから、ジャッジの判定は正しい
これほど高難度なことに挑戦する時、ユヅルはGOEで少し点を取りこぼしてしまう
例えば4T-3AのGOEは、神々しく実施される単独の3アクセルより少し低くなってしまう
だからこのようなシークエンスで実施すると少しGOEを取りこぼす
今僕たちが見ているジャンプだけれど、
いずれにしても前人未踏の新技で、こんなエレメントをただ思いつくだけでも驚異的なことだ
18点以上の点数に値するエレメントだ
これはサマリンとヴィンセント・ジョウが実施した4Lz-3Tに近い得点だ
しかも彼の場合、プログラム後半のボーナスエリアで跳ぶから
同じく後半に跳ぶ3アクセル-eu-3サルコウも大きな得点源だ
M:いずれにしても4T-3Aでも高いGOEを獲得したことを忘れてはならない
最初の4トゥループ神々しい出来だった
冒頭の4ループはくらくらするような美しさだった
そしてエレメントとエレメントの間に詰め込まれたそれ以外の全てについても
僕たちがケヴィン・エイモズの時に話していたことだけど
A:ケヴィン・エイモズの振付の方が個性的だったと思うけれど、
ユヅルのプログラムの方が更に豊かだ
ここにはより豊かで、技術的により難しいパッセージが盛り込まれている
M:彼はコンプリートパッケージを持っている
トータルで300点近い点が出るだろう
この段階で断トツ1位
A:メダルは確定だ
色が何になるかはもうすぐ分かる
M:すべてはネイサン・チェン次第だ
A:ジェイソン・ブラウンは圧倒的な帰還を果たしたが、羽生結弦を超える得点の可能性を持っていない
M:4ループの高さは65㎝だよ
206.10点
トータル300点を超えるね
M&A:(声を揃えて)300.97点だ!
A:凄い高得点だ
羽生結弦の力を見せつける驚異的な演技
つまり悪くても銀メダルだ
しかしネイサン・チェンはこれを超えられる得点を握っているけど、素晴らしい演技が必要だ
本当に感動させられる素晴らしい試合だ
(以上書き起こし)
こうして文字だけ見ても演技が目に浮かんでくるような素晴らしい解説です。
2013年のニースの世界選手権の時からずっと羽生選手の演技を高く評価して下さっているお二人です。
解説でも言及されていたように、ショートとフリーの4サルコウの失敗が敗北の一番大きな要因でした。
練習では一番うまく跳べていて、失敗など考えられなかったのに。
やはり試合本番では別の何かが作用することもあるのでしょうか。
しかし改めてこのプログラムを観ると、ネイサン選手がほぼノーミスだったとしても、羽生選手のこの演技に見るようなカリスマ性とエレガンスには欠けていたと思わざるを得ませんでした。
タラレバを言いいたくはないのですが検証として試算すれば、ショートとフリーの2つの4回転サルコウが練習の時のように成功していれば、ネイサン選手とは僅差となり、勝利の可能性も大いにあっただろうということです。
昨年のGPシリーズのヘルシンキでもロステレコムでも、羽生選手のSP冒頭の4SはGOE4.3という高い加点を付け14点でした。今回SPでもFSでもこのレベルの4Sが跳べていれば、それだけで総合点は22.07点アップします。
ネイサン選手との差は22.45点ですから、ほぼこれで差は解消し、4S成功によるPCSの上積み分と何故かレベル3だったStSqでレベル4を取っていれば、ネイサン選手を上回る点数が出るはずです。
痛み止めを服用してのあの演技です。
もし羽生選手が健康体でノーミスの演技ができたら、ノーミスのネイサン・チェン選手に勝てる可能性は大きいと言えるでしょう。
それは羽生選手自身が一番よく分かっていると思います。
だからこそ「難しいことをして完全に勝ちたい」という言葉が出てきたのでしょう。
羽生選手はもう今頃はトロントで次に向けての勝利の方程式を解くことに没頭していることでしょうね。
とにかく一番大切な足首の治療を最優先して。
治癒さえすれば今度は清々しい勝利を手にすることができるはず
フリー同日の23日付のマッシミリアーノさんのインタビュー記事も是非一緒にお読みください。
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