2018年11月22日
ユヅルのほうがスケートが上手 by プルシェンコ
Number web にこんな記事がありました。
プルシェンコさんからの羽生選手に対する最高の賛辞ですね。
プルシェンコさんって本当に正直に思いを語る人だなと思い、益々尊敬する気持ちが強くなりました。
やはり皇帝と呼ばれるだけの器の大きさを感じます。
これからも結弦君をどうか支えてください。
怪我の精密検査のために日本に帰国中という羽生選手の目にも留まっているでしょうね。
長い記事ですが是非お読みください。
「ユヅルのほうがスケートが上手」プルシェンコが語る羽生結弦の実力。
粉雪が舞う晩秋のモスクワである。彼が昨年4月に開校した「プルシェンコ・アカデミー」(正式名称は「エフゲニー・プルシェンコ・フィギュアスケート・アカデミー“エンジェルス・オブ・プルシェンコ”」)のリンクサイドでインタビューは行なわれた。
羽生結弦の今シーズンのフリー『Origin』は、プルシェンコの伝説的プログラム『ニジンスキーに捧ぐ』の楽曲を使用したものだ。羽生少年が本格的にフィギュアスケートを志すきっかけとなった憧れの存在へのオマージュである。
羽生のプログラムはプルシェンコの目にどう映ったのか、1時間にわたって話を聞くことができた。「ニジンスキーに捧ぐ」が完成するまでの経緯、2003-2004シーズンがどんな時期であったかといった背景も含め、自身の競技人生の中でいかにこのプログラムが大切なものであるか、想いを熱く語ってくれた。
そして話は、なおも挑戦を続ける羽生へのエール、さらには感謝の気持ちを伝えるまでに及んだ。羽生への愛情が言葉の端々に感じられた。
お揃いのノルディックセーターが超カワイイ
私とユヅルの共通点は……。
インタビューの中でプルシェンコは羽生に対してある提案もしており、その後の話はフィギュアスケートの未来へとつながっていくものだった。
詳しくは雑誌Number(966号)のインタビューをご覧いただければと思うが、その言葉からはプルシェンコの『ニジンスキーに捧ぐ』にかける想いとともに、羽生の実力を心から認めていること、そして後継者たる羽生にフィギュアスケートの未来を託していることが伝わってきた。
実際、プルシェンコは羽生にシンパシーを感じている。2人が似ていると思うところはどこか訊ねたときのこと。
「私とユヅルの共通点はたくさんあります。我慢強く最後まであきらめないところ、リスクを恐れず挑戦するところ、自由を好むところ、インプロビゼーション(即興)を楽しめるところ……」
反対に、似ていないところを訊ねると、「彼のほうがスケートが上手なことかな」とポツリ。てっきり冗談を言っているものだと思いきや、本人はいたって真面目な表情だ。
「冗談ではありません。つまりフィギュアスケートはつねに進化しているということです。それがあるべき姿なのです。自動車がどんどん便利になっていくように。今ではみんながスマートフォンを使いこなしているように」
フィギュアスケートの練習環境についても同様だと言う。
「ソ連時代のスケートリンクは寒くて寒くて、私が子どもの頃は厚手の毛糸の帽子をかぶって、手袋をして、ぶるぶると震えながら練習していたものです。それがどうですか。今の子どもたちは恵まれています。過去から現在まであらゆる選手のスケートを手軽に動画で見て研究することもできます。息子のサーシャもユヅルのビデオをよく見ています」
息子をはじめ生徒たちには羽生のジャンプをお手本に練習させていると言う。
「私はもうお手本じゃありません。なぜなら時計の針は進んでいるからです。今この瞬間、ユヅルが世界最高の選手です。間違いなく彼こそが本物のフィギュアスケーターです。しかし、ひとつだけ弱点がある。今は言いません。シーズンが終わったときに彼に直接伝えようと思っています。言いかえれば、彼にはまだまだ可能性が残されているということです」
(一体何をアドバイスして下さるのか、興味深いです!)
技術的なことかメンタル的なことかヒントを求めると、「それは秘密」と言ってウィンクしてみせる。リンクサイドのベンチに並んで座ってのインタビューである。4、50センチの至近距離でウィンクされ、何も言えなくなってしまった。
追い打ちをかけるように、プルシェンコはリンクで練習している息子を呼び寄せた。
「サーシャ、おいで。この人は日本人だよ。日本語であいさつしてごらん」と父親に促されると、サーシャ君は「コンニチワー」と言って握手してくれた。そして再びリンクに戻るや、羽生直伝のヘランジ、ハイドロ、イナバウアー、アクセルジャンプを次々と披露してくれた。思わず仕事を忘れ、立ち上がって拍手してしまった。天使のような笑顔に、5歳とは思えない身のこなし、将来が楽しみだ。
気を取り直して、自身のアカデミーのことについても話を聞く。
2017年4月にオープンしたフィギュアスケート学校。スケートリンクにはメダル姿のプルシェンコの巨大なパネルが5枚掲げられる。以前訪れたアリーナ・ザギトワの所属するサンボ70フルスタリヌィが牧歌的な雰囲気であるのとは対照的に、こちらは豪華だ。
建物の2階は雰囲気あるレストランになっていて、窓からリンクを眺め渡すことができる。プルシェンコの奥様ヤナ・ルドコフスカヤさんの姿もそこにあり、息子の練習を見守っていた。
有力者の子どもたちも練習に通っているとのことで、駐車場には運転手付きの高級車がずらりと並ぶ。開校当初は高額な授業料といったやっかみのような報道も一部あったが、それでも私財を投じてここまでの規模の運営ができていることはすごいこと。そこはやり手プロデューサーたるヤナさんの手腕によるところが大きいだろう。
現在は101名が所属している。
経営も軌道に乗ったようだ。プルシェンコは「現在は101名が所属しているんです」と生徒のリストをうれしそうに見せてくれた。次のステップとしてスケートリンクをもうひとつ増設するという。現在のリンクは幼児向けとし、新しく建設するリンクはトップ選手専用にする計画だ。
大会に出場するトップ選手としてはジュニアの2人だけだが、うちひとりは今年エテリ・トゥトベリーゼコーチの元を離れ移籍してきたアナスタシア・タラカノワである。12月のジュニアGPファイナル出場を決めている。
「来年はアイスショーへの出演はなるべく控え、コーチ業に専念しようと考えています。そして来シーズン、有名選手が何人かやってくる予定です。ちょっとしたセンセーションになると思う」
「もしかして〇〇〇〇〇ですか」と選手の名を挙げようとしたのを察してか、「それ以上は秘密」と先手を打つプルシェンコ。ウィンクも忘れない。正式な発表を楽しみに待とう。
(「Number Ex」栗田智 = 文)
ブログ訪問ありがとうございます。
フィギュアスケートランキング
ブログランキングに参加しています。1クリックが励みになります。
☆全ての画像、文の転載、引用はご遠慮下さい。