2021年01月28日
佐藤駿くんと4回転ルッツ
昨日の朝日DIGITALに、佐藤駿くんの記事がありました。
私も、最近鍵山優真選手の活躍が目立っていた中で、駿くんはどんな思いでいるのかなと、気になっていました。
有料記事なので、要約してお伝えします。
「悔しいけど目標」 佐藤駿、ライバル鍵山優真への思い
ライバルに敗れたというのに、表情は意外なほど明るかった。フィギュアスケート男子の新鋭、16歳の佐藤駿(埼玉栄高校/フジ・コーポレーション)だ。
24日に幕を閉じた全国高校選手権(インターハイ)で2連覇を逃し、2位。
優勝をさらったのは、今季同時にシニアデビューを果たした同学年の盟友、鍵山優真(星槎高校横浜)だった。
それでも、「やっと自分のスケートを出し切れたと思う。かなり満足しています」。
敗北にも前向きになれる理由が、最大の武器である4回転ルッツにあった。
ショートプログラム3位からの巻き返しを狙ったフリーで、駿くんは4回転ルッツを綺麗に着氷しました。3,45点のGOEが付く綺麗なルッツでした。
4回転ルッツの成功は昨年1月の埼玉のローカル大会以来だったそうです。
駿くんは「ジャンプに最近かなり自信をなくしていたけど、すごく取り戻せた」と喜んでいたようです。
今季からシニアにあがったものの、4回転ルッツをなかなか決められず、NHK杯5位、全日本選手権も5位に終わり、思うような結果がなかなか出せずにいたのです。
駿くんは今回のインターハイではある工夫をしていました。
これまでは、集中力の高い演技冒頭に跳んでいたルッツだが、「体が動いていないというか、緊張している状態での4回転ルッツなので成功率が低いのかなと。だから今回から(別のジャンプで)体を温めてから跳んだ」ということです。
4回転ルッツの方が高難度ではあるが、あえて4回転トーループをまず跳び、緊張がほぐれ、体も温まったところで2本目に4回転ルッツを組み込むという型破りな作戦で成功につなげたのです。
駿くんは、「今季は、自分でもかなり苦しいシーズンかなと思う。もちろん1位を狙っていたんですけど、それより、どこかで今季の嫌なイメージを変えたかった。今回の試合で、変えられたのですごく良かったです」と語った。
一方で、佐藤駿くんのライバルと自他ともに認める鍵山優真選手は、ショート、フリー共に1位で、インターハイ初出場で優勝した。
駿くんと共にシニアにあがった今シーズンは、NHK杯優勝、全日本では2年連続の3位と、頭角を現してきた。
記者から「ライバルの鍵山は一歩先を行っている。複雑な思いがあるのでは?」
という質問を受けて、
駿くんは、「もちろん悔しさはちょっとあるんですけど、それよりも早く追いつきたいって気持ちがとても強いです。間近で見る機会もたくさんあって、目標にもしている。
やっぱり優真がいなかったらここまで絶対に来られていない。とても感謝しています」と答たそうです。
その優真くんは、別の取材の時にこんな風に話していたそうです。
「(佐藤駿くんが小学生の時)本当にもう勝てないわ、という感じの選手だった。駿が関東に引っ越してきて、同じ試合をすることが多くなって、そこで『自分も負けていられない』という気持ちが熱くなった。そこから(自分の)成長のスピードが早くなったと思います」。
互いにライバルと認めながらも、普段は高校生同士、親友でもあるという二人が、これからどのような成長を遂げていくかは楽しみですね。
私が試合での駿くんを初めて見たのは2019年トリノのジュニアGPFでした。
『ロミオとジュリエット』の冒頭の4回転ルッツを決めた時は、本当にワァーオ!と思い、いっぱい拍手しました。
羽生選手のニースのロミオを思い出して、胸が一杯になったことを思い出します。
今シーズンは怪我もあり、思うような結果ではなかったかもしれないけれど、
秘めたポテンシャルは、決して鍵山選手に劣るものではないと確信しています。
いえむしろ、ジャンプの才能という面からは鍵山選手の上をいっているのではないかとも思っています。
今回のインターハイで4回転ルッツを2本目に持ってきたことを知った時、直ぐに思い浮かんだのは、
同じくトリノGPFで、羽生選手が2本目にルッツを持ってきていたことでした。
最初の4回転ループに続いての4回転ルッツ、素晴らしかったです。
駿くんも現場で見ていたはずですから、もしかしたらその時のことを思い出していたのかな、なんて思いました。
昨日は冬季国体があり、鍵山選手は4回転抜きでもSPで95.12点となり、
自分でも「さすがに出過ぎかなと思いました」とコメントしたくらいですから、ジャッジがどれだけ甘い点数を付けたのか分かりますね。
鍵山優真4回転抜きでSP95.12「さすがに出過ぎ」 #鍵山優真 #figureskate #冬季国体 https://t.co/wtLPxHnX59
— 日刊スポーツ (@nikkansports) January 27, 2021
最近無理やり、鍵山選手を盛り立ててポスト羽生結弦に仕立てようとする気配がありありで、ちょっと白けてしまうこともあります。
鍵山選手のせいではありませんが、あまりそういうことをすると、結局は有能な選手をスポイルしてしまうことにもつながるような気がします。
一時期の後輩選手のように、勝手に期待を掛けられて、成績が出せなくなると次のターゲットを探し出すというのは、本当に選手にもファンにも迷惑以外の何物でもないような気がします。
日本スケート連盟には、無理やりスターを創り出そうとするよりも、公平、公正、正確なジャッジングのためには何が必要なのかを真剣に考えて下さいと言いたいです。
駿くん、羽生選手の後輩であることを誇りに、これからもがんばって!!
最後までお読みいただきありがとうございます。
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2021年01月27日
ジャンプで比べる結弦vsネイサン
昨日の記事 「もし二人が戦えば」で、羽生選手とネイサン・チェン選手が、今シーズン直接戦う場があった場合、つまり世界選手権があった場合、
点数の面から見て、どのような可能性があるのかを考えてみました。
今日は、両選手のジャンプを比較している動画で、二人の4回転ジャンプを見てみましょう。
同じエレメンツを取り出して比較することで、二人の選手の違いや特徴も分かり易いと思います。
4Lz、4Lo、4S、4Tの順番で、羽生結弦選手とネイサン・チェン選手のジャンプが比較できます。
いかがでしょうか。
私は、ネイサン・チェン選手のGOEが、羽生選手に比べて高く付けつけられているのが目に付きました。
明らかに羽生選手の方が正しく美しいジャンプでも、GOEは何故かネイサン選手の方が高くなるケースが多いのは何故でしょうか。
やはりジャッジのアメリカ忖度があるとしか思えません。
羽生選手は今、そんな忖度を凌駕するほどの、絶対的な強さと美しさで勝つことを目指して練習に励んでいるのだと思います。
それでは今度は羽生選手が現在跳んでいる4種類の4回転ジャンプ、4S、4Lo、4Lz、4Tを集めた動画を観てみましょう。
正しいエッジ、プレロテ無し、美しく流れる着氷、本当に美しいジャンプばかりで惚れ惚れします。
羽生選手も、ネイサン・チェン選手も、FSでは共に4種類の4回転を5回入れたプログラムになると思われますが、ジャンプの美しさでは、羽生選手に勝てる選手はいないと思っています。
素晴らしい2つの新プログラムを創り出した羽生選手が、健康で、体力、気力共に充実していれば、必ず勝利はその手で掴めるはずです。
photo: 小海途良幹
最近のお気に入りドリンクです。
伊藤園の「京ゆず」、一目惚れならぬ一口惚れ、というのも納得の美味しさです。
Youtubeや読書のお供に。
見つけたら是非お試し下さいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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2021年01月26日
もしも二人が戦えば
The DIGESTに、こんなセンセーショナルなタイトルをつけた記事が上がっていました。
羽生結弦vsネイサン・チェン、世界選手権ではどちらが勝つ?
日米両王者を最新エレメンツで比較すると・・・
点数についての部分を一部抜粋しました。
国内選手権の点はISU非公認のため一概に比較できない。そこで両者のエレメンツを比べてみた。 ◆羽生 SPのエレメンツと基礎点(×は演技後半で1.1倍) 1:4S 9.70 2:4T+3T 13.70 3:FCSp3 2.80 4:3A 8.80× 5:CSSp 0 6:StSq4 3.90 7:CCoSp4 3.50 合計 42.40 ◆羽生 フリーのエレメンツと基礎点 1:4Lo 10.50 2:4S 9.70 3:3A+2T 9.30 4:3Lo 4.90 5:FCCoSp4 3.50 6:StSp3 3.30 7:4T+3T 15.07× 8:4T+1Eu+3S 15.73× 9:3A 8.80× 10:ChSp4 3.00 11:FCSSp4 3.00 12:CCoSp3V 2.25 合計 89.05 今回、羽生はSPのスピンが異例の「0点」とされた。大会後に発表された理由は、「足換え後に2回転連続した姿勢が成立していないから」ということだった。仮にこのエレメンツでレベル4を取っていれば基礎点は3.00。合計45.40点だった。
◆チェン SPのエレメンツと基礎点 1:4Lz 11.50 2:3A 8.00 3:CSSp4 3.00 4:FCSp4 3.20 5:4F+3T 16.72× 6:StSq4 3.90 7:CCoSp4 3.50 合計 49.82 ◆チェン フリーのエレメンツと基礎点 1:4Lz 11. 50 2:4F+3T 15.20 3:3Lz 5.90 4:4S 9.70 5:CCSp4 3.20 6:FCCoSp3V 2.25 7:StSq4 3.90 8:4T+1Eu+3F 16.83× 9:4T+3T 15.07× 10:3A 8.80× 11:ChSq1 3.00 12:CCoSp2V 1.88 合計 97.23 このようにエレメンツの基礎点ではチェンがリードしている。4回転ジャンプに長けているチェンの演技の醍醐味だ。しかし、演技構成点に目を向けると羽生の強さが光る。あくまで非公認だが、全日本選手権の羽生と全米選手権のチェンの演技構成点を比較すると、 羽生のSP 47.32 羽生のフリー 97.22 羽生の演技構成点の合計 144.54 チェンのSP 47.70 チェンのフリー 94.00 チェンの演技構成点の合計141.00 となるのだ。
*****
つまり、二人の基礎点と演技構成点の合計は
羽生選手:45.40(SP)+89.5(FS)+144.54(PCS)=278.99
チェン選手:49.82(SP)+97.23(FS)+141.00(PCS)=288.05
となり、チェン選手が9.06点リードする計算になっています。
しかしFSにおいて、羽生選手が4Lo、4S、4Tの3種類4本の4回転ジャンプで構成しているのに対して、
チェン選手は4Lz、4F、4S、4Tの4種類5本で構成しています。
羽生選手は今シーズン初戦となる全日本では、敢えて4種類の4回転を入れなかったのだと思いますが、当然のことながら、入れようと思えば美しい4Lzを跳べるわけですから、もし2019年GPFのように4Lzを入れた4種類5本の4回転ジャンプを跳べば、さらに点数は数点上がります。
そして、ここでは計算されていませんが、
羽生選手の全日本でのGOEの合計は、13.81(SP)+29.56(FS)=43.37点、
ネイサン・チェン選手の全米でのGOEの合計は、16.40(SP)+17.13(FS)=33.43点でした。
羽生選手の方が9.94点リードしているのです。
そう考えれば、もし両雄戦えばの推測は、
羽生選手の方に軍配は上がる、というのが、私の結論です。
記事の全文はこちらから。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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2021年01月25日
冨田勲さんの音楽と矢野桂一さんの編曲と
羽生選手のフリーの新プログラム「天と地と」は、1969年のNHK大河ドラマ「天と地と」、
そして1972年のNHK大河ドラマ「新・平家物語」の音楽を編集したものになっています。
この2つのテーマ曲を作曲したのが冨田勲さんです。
これが冨田さんの曲だと知った時、私はちょっと意外な感じがしました。
冨田勲さんと言えば、私の中ではシンセサイザー音楽の作曲家というイメージがあったからです。
調べて驚いたのですが、冨田さんは大河ドラマの音楽を多数担当されていたのです。
NHK大河ドラマ
- 大河ドラマ第1作:花の生涯(1963年)
- 大河ドラマ第7作:天と地と(1969年)※ 初のカラー大河ドラマ
- 大河ドラマ第10作:新・平家物語(1972年)
- 大河ドラマ第12作:勝海舟(1974年)
- 大河ドラマ第21作:徳川家康(1983年)
その他にも、映画、ドラマ、アニメ、校歌、CMと、ありとあらゆるジャンルの、数えきれないほどの音楽を手掛けた多作の作曲家でした。
以下、ウィキペディアから経歴のほんの一部をご紹介します。
やがて古典的な「アコースティック楽器のオーケストラ」の音には飽きたらなくなり、当時新たに登場してきた電子機器と古典的楽器の音を融合させるなど、様々な音楽の可能性を追求するようになった。さらにその後1969年に電子楽器モーグ・シンセサイザーに出会ったことが転機となり、これ以降は古典的名曲を現代的な解釈を加えて編曲し、自宅スタジオでシンセサイザーを演奏・多重録音して作品を制作し世に発表することが活動の中心となった。その音楽や音響効果は「TOMITA SOUND トミタ・サウンド」と呼ばれ、「Isao TOMITA イサオ・トミタ」の名は広く世界に知られている。
1971年秋頃、モジュラー式のモーグ・シンセサイザー(モーグIII-P画像)を日本で初めて個人輸入した。非常に高額な楽器であり、金銭面で苦労したという。
1975年3月開催の第17回グラミー賞において日本人として初めてノミネートされた[11]。この快挙はNHKなど国内のマスコミによっても報じられ、米国RCAレーベルのレコードが国内に(『月の光 - ドビッシーによるメルヘンの世界』として)逆輸入されたことなどにより、その作品が知られるようになった。またNARM(National Association Of Record Merchandiserers 全米レコード販売者協会)の1974年最優秀クラシカル・レコードにも選ばれた。
1975年2月発表の『展覧会の絵』[12]は、1975年8月16日付けのビルボード・キャッシュボックスの全米クラシックチャートの第1位を獲得し、1975年NARM同部門最優秀レコード2年連続受賞、1975年度日本レコード大賞・企画賞を受賞した。
同年9月発表の『火の鳥』[13]は1976年3月20日付けのビルボード全米クラシックチャート第5位を記録した。
1976年12月20日発表の『惑星』[14]も1978年2月19日付けのビルボード全米クラシック部門で第1位にランキングされた[15]。『バミューダ・トライアングル』では発売翌年のグラミー賞で "Best Engineered Recording"に2回目のノミネートを受けた。1983年のアルバム『大峡谷』では3回目のグラミー賞のノミネートを受けた。以降『バッハ・ファンタジー』(1996年)まで、冨田勲のアルバムはいずれも世界的なヒットを記録している。
1979年に米コンテンポラリー・キーボード誌の読者投票により“ベスト・スタジオ・シンセシスト”に選ばれた。冨田のシンセサイザー作品群は、全ての音色作りはもちろん、全パートの演奏、録音、編集までを含めて冨田自身の一人の手による制作であり、現在のパーソナルスタジオによる音楽制作の先駆けであったといえる。
ここで教えを受けながら助手として働いた松武秀樹は、後にイエロー・マジック・オーケストラの第4のメンバーとしてシンセサイザー・マニピュレーターの役割に就いた。海外では、スティービー・ワンダーが、来日した際に最も尊敬している音楽家として冨田の名前を挙げている(後に長良川でのサウンドクラウドに登場している)。マイケル・ジャクソンも、来日(1987年9月24日)の際に冨田のスタジオを訪問した[16]。また『惑星』の立体音響に深く感銘したフランシス・フォード・コッポラ監督は、映画『地獄の黙示録』の音楽を冨田に要請したが、レコード会社との専属契約の関係で実現には至らなかったとされる。
1998年、日本の伝統楽器と西洋オーケストラとシンセサイザーによる『源氏物語幻想交響絵巻』を作曲。東京、ロサンゼルス、ロンドンで初演、自ら指揮棒を振った。1999年、メディア・アーティスト協会創設に参加。
2001年、東映50周年記念作品映画『千年の恋 ひかる源氏物語』の音楽を作曲し、日本アカデミー優秀音楽賞を受賞。また、東京ディズニーシー・アクアスフィアのための3面立体音響シンフォニーを手掛ける。
このように、日本の伝統楽器とオーケストラとシンセサイザーの組み合わせによる作曲を多く手掛け、世界的にも非常に高く評価された作曲家でした。
羽生選手が新プログラムに冨田勲さんの曲を使うことについては、和楽器を使った曲でありながら、世界にアピールできる現代性を備えた素晴らしい選択だなぁと敬服しました。
また1969年と言う、羽生選手が生まれる25年も前のNHK大河ドラマの曲をよく見つけてきたものだなぁというのも驚きでした。
これも上杉謙信公との縁が引き寄せためぐり合わせなのかもしれませんね。
Number1019号には、新プログラムの曲の編集を担当された矢野桂一 さんの記事が掲載されています。
琵琶の音色を付け加えたり、箏の音色にハープの音色を重ねたり、シンバルやチューブラーベルという楽器を使ったり、最後の部分は琵琶の音にエコーをかけて余韻を持たせるなど、音響デザイナーとして素晴らしい曲を作って下さいました。
私事になりますが、私の母は子供のころから筝を習っていて、父は趣味で尺八を吹いたりしていたのですが、ある時、なぜか突然、琵琶を買ってきたことがありました。
どこかで琵琶法師の音楽を聴いて、えらく気に入ったらしいのです。
そんなわけで、私も子供のころから筝、琵琶、尺八という和楽器は身近にあったので、今回の音楽は非常に気に入っています。
琵琶はリュートと、箏はハープと似ています。
楽器を通しても、世界の中の日本、日本の中の世界を感じたりします。
和楽器って、西洋の楽器とは音階が違うので、扱い方によっては現代音楽のようにも聞こえたり、ジャズ風な趣も感じられたりして。
羽生選手の『天と地と』をきっかけにして、世界にもっと和楽器の素晴らしさが広がって行ったらいいなと思っています。
結局、この曲を選んだ羽生選手の音楽的センスが素晴らしいということ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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2021年01月24日
歴史に残る名演技
全日本選手権から今日でちょうど1か月が経ちますね。
でもまだその余韻から抜け出せずに、毎日のように動画を観てしまいます。
Number1019号では、羽生選手の圧巻の演技について、様々なジャンルの方々から取材して下さっていて非常に興味深いですが、
全日本選手権で解説を担当し、フィギュアスケート選手として第一線で活躍された経験を持つ本田武史さんは、実際に自分が体験したことに基づいて鋭い指摘をされています。
技術的に一番変わったのはジャンプの空中姿勢での肘だということです。
「昨季まではちょっと肘が上がった状態でしたが、今季は肘を締めているんです。
本人に『軸が細くなったね』という話をしたら、『独りで練習しているからそういう所(外から見た姿勢)は分からない部分だった』と納得した様子でした。
軸が細くなった分、回転に余裕ができている印象でした」
問題のシットスピンのノーカンについては、本田さんはこのように話しています。
「これは全体的に、姿勢を変えるタイミングが早かった印象でした。1つの姿勢で『1,2』」と2回転数える前に、次の姿勢にむけて動き始めているので、回転数が足りないと判断されたのですね。本人も『ちょっと盛り上がり過ぎた』って言っていましたし、スピンの後の『拍手の部分がいらなかった~』とも。
あと1秒あれば回転は足りていましたからね。スピンのレベルは試合数をこなしながら調整するものなので、初戦の難しさでしょう」
拍手の部分とはここのことですね。
羽生選手は、会場をもっと盛り上げようという気持ちでここで拍手を入れたのだと思います。
しかし、もしそこまで厳しくスピンをカウントするならば、全選手に同じ基準を適用しなければなければなりません。
本田さんはさらに、「スピンの部分で4~5点は上がりますし、このプログラム自体は110点を超えるという予想ができます。このままで十分、北京五輪で勝てるプログラムになると思います」と語っています。
そしてフリープログラムのジャンプについては、
「全体的に軸が細く、やはり脇を締めています。個人的には最後のトリプルアクセルが一番のハイライト。スパイラルやってほとんどスピードのない所で高さと余裕のあるアクセル。お見事でした」
「軸が細く回転速度が速くなった分、開くタイミングを早めた。
これは4回転アクセルを早めに開くとトリプルになるという延長線上の練習をしていると感じました」
そして、
「このフリーは絶対に北京五輪へと繋がっていくでしょう」と言い切っています。
羽生選手自身は、北京五輪への思いは自分に封印していると言っていましたが、
実際問題として、このプログラムを見せられた後で、羽生選手が北京五輪を念頭に置いていないと思う人はいないのではないでしょうか。
同じく現役時代に第一線で活躍した中野友加里さんは、さらに熱く熱く、羽生選手のフリープログラムについて語っています。
「『天と地と』という名作は、歴史に残る名演技と言えるくらいの演技」
「一つ一つのジャンプが決まるごとに、もう呆然としてしまって、いやーこの人凄いな、この選手凄いな、と思いながら観ていました」
「一人異次元の戦いをしているんじゃないかというぐらい、素晴らしい卓越したスケーティング、そして歴史に残る、全日本の歴史に残る名演技だったんじゃないかというぐらい、素晴らしい演技でした」
「今日観た羽生選手の演技は、もう誰もかなわないんじゃないかなと思うくらい、世界でもトップになれるくらいの演技だったと思うので、この先どうなるかはわからないのですが、北京オリンピックに繋がる演技だと思います」
中野さんの感想は、羽生結弦ファンはもちろんのこと、たとえほかの選手のファンであっても、フィギュアスケートファンであるならば誰もが感じた事ではなかったでしょうか。
まだ世界選手権さえ開けるかどうか分かりませんし、世界中に変異種が拡散している最中に開催は難しいのかなとも思います。
しかし、たとえ次に演技を観るのが北京オリンピックになったとしても、
今回の演技を観る限り、羽生選手の3回目の五輪金メダルは非現実的なものではないと考えるようになりました。
それまで羽生選手が健康で、怪我無くいてくれますように。
祈るのはただそれだけです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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